マウスTL抗原を標的とした免疫療法モデルの開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12217170
• 研究種目: 特定領域研究(C)
• 研究機関: 愛知県がんセンター
• 研究代表者: 高橋 利忠 愛知県がんセンター, 副所長 (00124529)
• 研究分担者: 中山 俊憲 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50237468)
• キーワード: マウスTL抗原 / 主要組織適合抗原 / 細胞傷害性T細胞 / NKT細胞 / TLテトラマー / 樹状細胞 / 免疫モニタリング / 腫瘍免疫療法

研究概要

(1)マウスTL抗原陽性皮膚または樹状細胞を用いた免疫により、TL抗原陽性腫瘍に対する抗腫瘍活性の誘導が可能であることを示したが、同時に自己に対する反応性を惹起する危険性も示唆した。本結果により、免疫療法の際、抗原特異的および非特異的反応のモニターの必要性が示唆された。
(2)TL抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)エピトープはTAP非依存性であり、遺伝子導入により昆虫細胞に発現させたTL分子にも存在していることを示した。次いでTL抗原特異的CTL前駆細胞数を測定するために、昆虫細胞で作成したTL分子を用い、テトラマーを作成した。また、TLテトラマーを用い、TL特異的CTL集団をin vitroで濃縮可能であることを示した。
(3)マウスNKT細胞が腫瘍細胞を傷害する時に、その認識に関わるレセプター分子の同定を試みた。サブトラクション法を用いることにより、NKT細胞特異的であるcDNA断片として、ESTマッチ38個、新規遺伝子16個を検出した。
(4)ヒト末梢血中のNKT細胞を抗TCRV β11抗体、抗TCRV α24と磁気ビーズを用いて精製後、IL-2とαGalCerを用いて増殖させることにより、高い腫瘍細胞傷害活性を誘導できることを見出した。さらに、末梢血単核球より樹状細胞を培養し、NKT細胞を活性化できる条件も決定した。

研究成果

• [文献書誌] Iwase,S.: "Comparison of anti-tumor responses against TL positive lymphoma induced by skin grafting and dendritic cell immunization"Microbiol.Immunol.. 44. 609-618 (2000)
• [文献書誌] Tsujimura,K.: "The epitope detected by CTL against thymus leukemia (TL) antigen is TAP-independent"Int.Immunol.. 12. 1183-1191 (2000)
• [文献書誌] Yazaki,M.: "Generation of HLA-A2 subtype specific T lymphocytes from cord blood used for cord blood stem cell transplantation"Bone Marrow Transplant.. 26. 451-454 (2000)
• [文献書誌] Matsuda,J.L.: "Tracking the response of NKT cells to a glycolipid antigen using CD1d tetramers : The response to α-galact osylceramide is dynamic and highly compartmentalized"J.Exp.Med.. 192. 741-754 (2000)
• [文献書誌] Yamashita,M.: "TCR-induced calcineurin activation regulates Th2 cell development by modifying the IL-4 receptor signaling complex"J.Exp.Med.. 191. 1869-1879 (2000)
• [文献書誌] Ikehara,Y.: "CD4+ Vα 14NKT cells are essential for acceptable of intrahepatic rat islet xenografts in mice treated with anti-CD4 antibody"J.Clin.Invest.. 105. 1761-1767 (2000)