研究課題/領域番号 |
12218206
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小俣 政男 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90125914)
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研究分担者 |
今井 康雄 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
大橋 誠 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
白鳥 康史 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70196624)
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10305229)
榎本 信幸 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (20251530)
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キーワード | 肝癌 / 生体マーカー / AFP / AFP mRNA / AFP-L3 / DCP / 生物学的特性 / 予後 |
研究概要 |
肝癌にはAFP、DCP、AFP-L3分画等の腫瘍・生体マーカーが既に存在する。本研究では、腫瘍・生体マーカーが診断、ひいては患者の生存率の改善にいかに有効であるかという点を検討した。 即ち肝癌患者血清中に存在する生体マーカーの一つであるAFP mRNAを88名の肝癌患者で調べ、Prospectiveにその予後を追った。明らかな有意差(P<0.0001)を持ってAFP mRNAが陰性、或いは治療により陰性化した患者の予後が著明に改善される事が明らかになった。 産生される蛋白(腫瘍マーカー)を癌の生物学的特性ととらえて、300例の肝癌症例において検討した結果、DCP(des-r-carboxy-prothrombin)陽性症例は、、主たる癌結節が大なるにも拘わらず、肝内及び肝外の他の癌結節の増殖が抑制されている事実が明らかになった。 また肝癌患者227例のprospectiveな検討により、DCPは肝癌の重要な予後因子である腫瘍塞栓(PVTT)の最も強力な予測因子である(Risk ratio=5.65,P<0.001)事が確認された。腫瘍マーカーは単に癌の早期発見や、治療後の効果判定に用いられるマーカーとしてのみならず、癌の表出する蛋白は固有の生物学的特性を有すると考えられ、その解明が必要と考えられた。 さらに、肝癌治療後の異所性再発のrisk factorを検討した研究で、術前AFPの高値が術後異所性」再発の重要な予測因子(Risk ratio=1.85,P=0.27)であることを明らかにした。 予後因子としての腫瘍マーカーを検討すると、術前のAFP値は必ずしも予後を規定しなかったが、DCPとAFP-L3、特にAFP-L3の値(P<0.0001)が予後と密接に関係し、腫瘍の臨床的悪性度を示す重要な因子であることがわかった。
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