研究課題/領域番号 |
12218206
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小俣 政男 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90125914)
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研究分担者 |
川上 高幸 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
金井 文彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70334399)
白鳥 康史 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70196624)
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10305229)
榎本 信幸 東京医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251530)
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キーワード | AFP / DCP / AFP-L3 / 腫瘍塞栓(PVTT) / ビタミンK / Prospective Study / micro array / 二次元電気泳動 |
研究概要 |
我々は昨年度までに、肝臓癌の既存の3種の生体マーカー(AFR, DCR, AFP-L3)を用いた癌の進展予後に関する臨床疫学的研究から、DCPが肝癌の生物学的悪性度、特に腫瘍塞栓(PVTT)の発生に関与することを明らかにしてきた。今年度は、1999年2月より進めているDCP陽性症例に対するビタミンKの投与がPVTTの発生率を改善するかのprospective randomized介入試験について、約100症例の中間期解析を行った。その結果、ビタミンK投与群では、1)血清DCPが低下すること、2)PVTTの発生率が減少すること(二年間の観察期間で投与群でPVTTの発生率3%、非投与群で35%;p=0.039)、3)予後についても改善傾向にあること(二年間の観察での生存率投与群53%、非投与群32%;p=0.494)、が示され、引き続き解析を進めている。次に、新たな生体マーカーの開発として、ヒトの既知および未知のtranscripts約4000種を固定したcDNAマイクロアレイを作製し肝臓癌と背景肝での遺伝子発現差異を検討した。その結果、数十種のtranscriptsについて癌部における発現が増減していることが明らかとなり、これらの遺伝子群をセットとして用いることで新たな生体マーカーとなりうることが示された。さらにその中から、癌部で発現が亢進しかつコンピューター解析で細胞外に分泌されることが予想される未知の遺伝子を同定し、血清中の蛋白発現変化を検討できるよう、その蛋白に対する抗体を作製した。また、肝癌治療前後における患者血清の二次元電気泳動スポットを比較し、差のあるスポットを全て質量分析を行うことで新しい生体マーカーの単離を試みた。これまでに7症例の検討で計約250スポットで発現変化が認められ、新しい肝癌マーカーとしての可能性が示唆された。
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