臨床上有用となる扁平上皮がんの新しい予後因子を解明することを目的として、扁平上皮がん関連蛋白SCC抗原(SCCA)の発現状態と病態の悪性度との関係、及び、SCCAの生物学的機能を検討した。SCCAには相同性の非常に高い2種類のSCCA1、SCCA2が存在したが、がんでは特にSCCA2の発現が有意に亢進していた。子宮頸部扁平上皮がん患者Ib-II期では、治療前血清中SCCA2値は予後不良因子となる可能性が示唆された。SCCAの生物学的機能については、両者とも、腫瘍細胞が抗がん剤などの刺激によりアポトーシスに陥るのを抑えたり、細胞外に分泌されたSCCAが、腫瘍組織へのNK細胞の遊走を抑制することを報告してきたが、今回新たにがんの浸潤に関わるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9分泌を増加させる可能性を見い出した。以上より、SCCAは扁平上皮がんの進展・予後に密接に関与している分子である可能性が示唆された。
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