研究概要 |
骨髄腫の前癌病変と考えられる良性M蛋白血症(BMG)患者100例の骨髄中の形質細胞の分化度を表面抗原解析にて検討した。BMG患者100例につき、informed consentを得た後骨髄穿刺を行ない、骨髄液を採取した。常法のごとく、骨髄穿刺液から骨髄単核球を分離した後、FITC標識抗CD38抗体、PE標識抗CD19,MPC-1,あるいはCD49e抗体、およびPC5標識抗CD56あるいはCD45抗体で三重染色を行なった。フローサイトメーター(Epics Elite ESP,Coulter)で解析した。現在経過観察されているBMG患者100例の中で、20例において臨床的に進展増悪が観察された。その中で7例は診断基準に従って骨髄腫と診断された。進展増悪が観察された20例においては、骨髄中の単クローン性形質細胞の増加が見られるとともに、未熟形質細胞の比率が有意に増加していた。特に、臨床上骨髄腫と診断されるようになった症例では、未熟形質細胞の増加が目立った。従って、BMG患者においては骨髄中の単クローン性形質細胞の中で未熟形質細胞が増加してくると、骨髄腫への進展が予想されることが明らかになった。
|