研究課題
特定領域研究(C)
環太平洋の5カ国において胃がんを中心とした消化器がんのEpstein-Barr(EB)ウイルスの検索を行い、日本、中国(北部、南部)ではEBウイルス関連胃がんが胃がん全体に占める割合は5-10%と少ないが、南米地域では比較的高く15%前後の胃がんがEBV関連胃がんであることを明らかにした。現在、さらに、ウイルスのサブタイプを解析中である。また、p53蛋白の発現を検討した結果、EB virus encoded small RNA(EBER)陽性胃がんではp53の関与は小さいと結論された。その他、c-metなどの遺伝子についてもデータを解析中である。EBウイルス関連胃がんに関与する環境要因を解明する目的で日本とコロンビアで胃がん症例(コロンビアではさらに内視鏡検査受診者と対照群を含む)を対象とした生活習慣などの質問調査を行っており、チリでも今年度末よりわが国と同様の調査を開始する予定である。鹿児島のNK/Tリンパ腫症例について臨床病理学的・ウイルス学的解析を行い、いずれの症例もEBER陽性で、ウイルスのサブタイプの分布は日本の健常人唾液中に比較的高頻度に認められるウイルス分布を反映していることを明らかにした。中国、コロンビア、チリからもリンパ腫の病理標本を収集し、NK/Tリンパ腫の同定と病理学的・ウイルス学的解析を行っている。コロンビアとチリにおいて、一般集団からうがい液を採取し、EBウイルスのサブタイプを検索中であり、すでに報告している日本の結果も含めて各国間のウイルス分布の比較やEBウイルス関連疾患症例から検出されたサブタイプとの比較を行う予定である。
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