研究概要 |
[研究目的]HPV感染と子宮がんのリスクをHLA遺伝子多型とHPVタイプとの相関で解析する。このため、日本人とボリビア人の亜集団に感染するHPVタイプとHPV抗原ペプチドのアンカーモチーフの免疫遺伝学的背景を比較検討した。[研究方法と結果]1)鹿児島大学医学部附属病院産婦人科で診断治療中の子宮がん患者116名のうち42名がHPV陽性であった。HPV陽性患者群(N=42)は対照女性群(N=125)に比しHLA-DRB1^*0901の頻度が有意上昇、HLA-DRB1^*1302の有意減少がみられた。HLA-DRB1^*0901のHPVペプチドに対するアンカーモチーフはHPV33タイプのE7ペプチドに1ヶのみで、他のHPVタイプには皆無であった。一方、HLA-DRB1^*1302のアンカーモチーフはHPVタイプ16,18,31,33および58のE6/E7ペプチドには多数みられ、DRB1^*0901の免疫認識とは差がみられた。2)ボリビアの協力病院に受診した子宮頚がん症例(41例)と対照検体(22例)から、子宮頚部スメア細胞標本採取し、抽出したDNAを用いて2HPV-DNA検出とHLAタイピングを行っている。ボリビアの子宮がん患者ではHPV31タイプが高率に検出され、これに対するCRB1^*0901との関連性が注目される。[研究の要約]HLA-DRB1^*0901はHPV関連子宮がんの感受性を、DRB1^*1302は抵抗性を決定していることが明らかになった。この感受性と抵抗性の遺伝的振り分けはHPV-E6/E7抗原ペプチドを認識するアンカーモチーフの数で規定されていることがわかった。これは世界初の知見である。
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