研究概要 |
HTLV-Iと成人T細胞白血病(ATL)をモデルとしてウイルス発がんと免疫応答遺伝子多型との関連性を明らかにしてきた。ここでは、HTLV-I Taxペプチドを認識するHLAクラスI拘束性CTLが分析され、HLA-A^*26,B^*4002,B^*4006,B^*4801が成人T細胞白血病(ATL)のハイリスクHLA遺伝子として同定された。HPVと子宮がんの関係では、南九州日本(鹿児島県姶良地区)と南米ボリビア・アマゾン地区一般住民の子宮頚がん検診での膣スメアテストで、それぞれ1%と8.6%にHPV感染者が認められた。両地区の子宮頚がん患者でHPV感染率は45-80%であり、HPVキヤリアから発がんへの課程で宿主要因の関与が強く示唆された。日本人の子宮がん患者ではHPV-16,18,31,58タイプが好発し、HLA-DRB1^*0901が有意に高く、ボリビア人の患者ではHPV-31,58タイプが好発し,HLA-DRB1^*1602が有意上昇していた。HPVは子宮頚部粘膜上皮細胞を標的に感染増殖することから、分泌抗体など液性免疫応答とHLA-DRB1^*0901或いはDRB1^*1602との関連性が示唆された。現在、HPV関連子宮頚がんの発症と生活環境要因との交互作用を分析中である。
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