研究課題/領域番号 |
12218239
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研究機関 | (財)放射線影響研究所 |
研究代表者 |
中地 敬 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 部長 (00142117)
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研究分担者 |
林 慎一 東北大学, 医学部保健学科検査技術科学専攻, 教授 (60144862)
菅沼 雅美 埼玉県立がんセンター, 研究室・主任研究員 (20196695)
末岡 榮三朗 佐賀大学, 医学部, 助教授 (00270603)
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キーワード | NK活性 / 遺伝子多型 / コーホート研究 / ピロリ菌 / 肺がん / 乳がん |
研究概要 |
コーホート研究により、発がんの免疫的宿主防御であるNK活性に関与する遺伝的要因として、NK細胞の活性型受容体であるNKG2Dの遺伝子領域にNK活性と強く関連したハプロタイプブロックを見いだした。次に、コーホート内症例対照研究を行いNKG2Dハプロタイプの発がんリスクの評価を行った。コーホート内症例対照研究により、NK高活性に関連したハプロタイプの発がん相対危険が低いことを示した。すなわち、NK高活性に関連したアリールをhomozygousにもつHNK1/HNK1の人は、NK低活性に関連したアリールをhomozygousにもつLNK1/LNK1に比べ、オッズ比0.48(95%CI、0.24-0.95)の低い全がん罹患リスクを示した。これらの結果は、がん免疫予防の主たる対象となる高危険群の同定に有用であり、NK活性を代理マーカーとした新たながん予防の道を開くものと考える。コーホート研究と並行して、臓器別にがん予防に有用な生体マーカーの研究を進めた。H. pyloriが遊離する新しい発がん因子Tipαはホモダイマーが活性型であり、Tipαのダイマー形成阻害を戦略とした新しい胃がん予防を目指す。緑茶ポリフェノールEGCGとsulindac、all-trans-retinoic acidあるいはcelecoxibを併用すると、GADD153を強く誘導し、相乗的に肺がん細胞のアポトーシスを誘導する。乳がんのエストロゲン応答解析用cDNAチップを用いて、HDAC6、IGFBP4、EGR3の乳がんの新規予後因子を見出した。hnRNP B1は肺発がん早期から高発現しており、肺がん患者の血漿hnRNP B1 mRNA量は、非がん群より高かった。迅速定量法の開発により、肺がん検診および前がん病変のマーカーとしての応用を検討している。
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