研究課題/領域番号 |
12219202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹縄 忠臣 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40101315)
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研究分担者 |
三木 裕明 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80302602)
深見 希代子 東京大学, 医科学研究所, 講師 (40181242)
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キーワード | アクチン / WASP / 浸潤 / 糸状突起 / 葉状突起 |
研究概要 |
癌細胞は運動能が亢進し、基底膜を破って浸潤し、転移していく。この浸潤の際に、ある癌細胞はpodosome/invadepodiaとよばれる突起を伸ばして浸潤する様子が観察されている。我々が数年前に採ったN-WASPはアクチン骨格の新たな重合を促し、細胞運動に関与していることを明らかとしてきた。今回、このN-WASPが癌細胞が浸潤する際に伸ばすinvadepodiaの形成に関与しているかどうか調べた。v-srcで癌化した細胞では著明なinvadepodiaの形成が観察されているのでv-srcで癌化させた3Y1細胞(3Y1 src)を用いた。3Y1 src細胞ではN-WASPはcortactinと複合体を形成し、両者ともinvadepodiaに局在していた。その複合体形成はcortactinのSH3ドメィンとN-WASPのプロリンに富む領域で生じていた。細胞の浸潤に重要な役割を果たすと考えられるメタロプロテアーゼもinvadepodiaに局在し、ファイブロネクチンよりなる基質の分解を起こした。更に、N-WASPのアクチンに結合できない変異体を発現させるとinvadepodiaの形成が生じなくなった。その上、メタロプロテアーゼによってのファイブロネクチンの分解も見られなくなった。これらの結果より癌細胞において、N-WASPはアクチンを重合させinvadepodiaを形成し、そこにメタロプロテアーゼを集めて細胞浸潤を行っていると結論した。
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