研究課題/領域番号 |
12219203
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武藤 誠 京都大学, 医学研究科, 教授 (70281714)
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研究分担者 |
大島 正伸 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40324610)
青木 正博 京都大学, 医学研究科, 講師 (60362464)
三好 弘之 京都大学, 医学研究科, 助手 (30362479)
北村 剛規 京都大学, 医学研究科, 助手 (10378622)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2004
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キーワード | APC / COX-2 / プロスタグランジン / 間質細胞 / トランスジェニックマウス / 癌 / 病理学 / LKB1 |
研究概要 |
上皮と間質の相互作用は、腫瘍の成長と悪性化を制御する重要な要素である。我々は様々なモデルマウスに発生する腫瘍を解析し以下のような知見を得た。 Apc遺伝子ノックアウトマウスに形成される直径1mm以上のポリープでは、PGE_2合成に重要なCOX-2とmPGESの発現が間質の線維芽細胞において増加すること、VEGFの発現が誘導され血管形成が増加することを示した。さらに、PGE_2受容体のEP2遺伝子を欠損させるとポリープ数が激減すること、EP2の欠損したポリープではCOX-2およびVEGFの発現誘導が抑制されることを明らかにした.またLkb1, Smad4, Cdx2遺伝子の各ノックアウトマウスにそれぞれ発生する胃幽門部、十二指腸、大腸の過誤腫性腫瘍でもCOX-2とmPGESの発現が間質細胞で誘導されることを示した。以上の結果から、原因遺伝子に関わらず腸管腫瘍の成長には間質の線維芽細胞によるPGE_2の産生とEP2受容体を介した血管新生の促進が重要であることが示された。一方で、COX-2とmPGESを胃粘膜上皮に発現するトランスジェニックマウスではマクロファージの浸潤を伴う過形成性腫瘍が胃に発生すること、これがCOX-2阻害薬や抗生物質により抑制されることを見出し、PGE_2と胃粘膜細菌によって集籏・活性化したマクロファージが上皮細胞の増殖を促進することを明らかにした。間質の線維芽細胞やマクロファージは腫瘍の成長に加え、その悪性化にも関わることが示唆されている。我々はApc/Smad4複合変異マウスに生じるポリープでは癌化上皮細胞が間質増生を伴って浸潤することを見出したが、浸潤部周囲に存在する間質細胞は線維芽細胞やマクロファージではないことが明らかとなり、大腸癌が浸潤する初期段階では従来の報告とは異なる間質細胞が関与している可能性が示された。
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