研究分担者 |
江良 択実 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (00273706)
大沢 匡毅 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (10344029)
植村 明嘉 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (30373278)
戸川 温 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (30359799)
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研究概要 |
5年間の研究で以下の成果を得た。 1)ES細胞から血管内皮や周囲細胞を誘導する方法を確立し、正常血管構成細胞の細胞生物学的解析を可能にした。また、この系を用いて、Flk1,Flt1,Flt4などの重要シグナル分子の機能について明らかにした。また、ヒトES細胞からの血管内皮細胞分化条件を明らかにした。 2)新生児期の網膜血管新生を抗体などを用いて外部から操作する方法を確立し、アストロサイトと血管内皮細胞相互作用に関わる分子としてLIF, Tlxを、血管内皮細胞と周囲細胞の相互作用に関わる分子としてPDGFRβ,Ang1,PlexinD1などを新たに同定した。 3)ES細胞から血液への分化培養系を用いて、Runx1,SCL, GATA1などのkey regulatorの胎児発生における作用点を明らかにした。また、血液へ分化する中胚葉を選択的に誘導する無血清培養条件を決定した。しかし、当初目的としたES細胞からの成人型血液幹細胞の誘導は実現しなかった。 4)ES細胞から内胚葉への分化を誘導する条件を確定し、内胚葉と中胚葉へ分化できる中内胚葉の存在を証明した。 5)試験管内でES細胞から分化してくる様々な中間分化段階の細胞のDNAマイクロアレー遺伝子発現プロファイルを蓄積した新しいfunctional genomics database(神戸市)が、発生過程に関わる新奇分子の同定に有用であることを証明した。 6)色素細胞幹細胞が毛根のバルジ領域に存在することを証明し、色素細胞特異的遺伝子ライブラリーを作成した。このライブラリーの遺伝子発現プロファイルより、幹細胞においてhouse keeping geneの発現が抑制されていること、Wntシグナルが抑制されることなどを見出した。また、幹細胞で強く発現しているNotch分子の機能を検討し、Notch/HES1シグナルが色素細胞の発生と幹細胞の維持に必須であることを示した。 7)間質幹細胞の少なくとも一部が神経上皮由来であることを示した。
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