研究課題/領域番号 |
12219217
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮園 浩平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90209908)
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研究分担者 |
今村 健志 (財)癌研究会, 癌研究所・生化学部, 部長(研究職) (70264421)
宮澤 恵二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40209896)
渡部 徹郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00334235)
齋藤 正夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90345041)
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キーワード | TGF-β / Smad / シグナル伝達 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / ユビキチン化 / 転写因子 / 血管新生 |
研究概要 |
1)Smad7がマウス乳がんモデルにおいてがんの転移を抑制することから、DNA microarrayでSmad7によって調節される遺伝子の網羅的解析を行なった。その結果、200個以上の遺伝子がSmad7によってその発現が抑制されることが明らかとなった。この中にはTGF-βレセプター抑制剤で発現が抑制されない遺伝子も多く含まれ、Smad7のTGF-βシグナル抑制以外の機序も転移の抑制に関わっている可能性が示唆された。 2)我々は新規Smad7結合蛋白質としてHECT型ユビキチンリガーゼWWP1を同定した。WWP1はSmurf同様にSmad7を核外移行させ、膜表面のTGF-βI型レセプターへとリクルートした。またWWP1はSmad7存在下でTGF-βI型レセプターの分解を促進し、TGF-βシグナルを抑制した。しかし、WWP1とSmurf1/2、NEDD4-2はヒト組織や癌細胞株での発現パターンに違いが認められた。 3)我々はc-SkiのTGF-βシグナルの抑制機構について検討した。HaCaT細胞よりc-Skiの安定発現株を作成したところ、TGF-βによってSmad3/4の結合配列を含むCAGA promoter活性の上昇、c-myc promoter活性の減少が抑制された。各プロモーター領域のSmad結合配列へのSmad2/3の結合を調べた結果、c-Skiはプロモーター上にc-Ski-Smadの安定な複合体を形成させることで、Smadによる転写の活性化および低下を阻害している可能性が示唆された。 4)我々は、B細胞ハイブリドーマのHS72細胞ではBMPによってアポトーシスが誘導されることを確認した。HS72細胞ではBMPによってp53や、p53標的遺伝子であるpumaやBaxの発現上昇を認めた。さらにpumaやBaxの小胞体(ER)への関与の可能性を検討したところ、BaxはBMP刺激によりERに移行すること、さらにcaspase-12も活性化されることが明らかとなったことから、BMPによってERストレスに依存的なアポトーシスが起こっていることが明らかとなった。
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