RB経路とp53経路の相関性の解析

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12219218
• 研究機関: 国立がんセンター(研究所)
• 研究代表者: 田矢 洋一 国立がんセンター, 研究所, 部長 (60133641)
• キーワード: RB / p53 / サイクリンG / Mdm2 / PP2A / CDK / E2F / BRG1

研究概要

p53のターゲット遺伝子産物であるサイクリンG1の生理機能はこれまで不明であったが、他のサイクリンと違って、Cdkとは結合せずにPP2Aフォスファターゼと結合することを初めて見つけた。さらに、サイクリンG1/PP2A結合体はMdm2のThr216を脱リン酸化し、その結果、53の分解を促進することを示した。また、細胞のDNAがダメージを受けた際、c-AblがMdm2に結合してTyr394をリン酸化し、Mdm2によるp53の分解を阻害することを見いだした。さらに、p53と結合してアポトーシス誘導能を高める新しい蛋白質を同定した。これは細胞質である重要な役割を演じることが知られている蛋白質であるが、核内ではp53と結合して全く別の役割を演じるらしい。一方、RB蛋白質については、E2F-1との解離には主にCdk4-cyclin D1特異的なリン酸化部位のリン酸化が、逆に、ヒストンンデアセチラーゼをリクルートしてくるRBP1やクロマチンリモデリング蛋白質Brg1などとの解離にはCdk2-cyclin E特異的なリン酸化部位のリン酸化が使われるらしいことを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] Okamoto, K et al.: "Cyclin G recruits PP2A to dephosphorylate Mdm2"Molecular Cell. 9. 761-771 (2002)
• [文献書誌] Hoffman, T.et al.: "Regulation of p53 activity by its interaction with homeodomain interacting protein kinase 2"Nature Cell Blol.. 4. 1-10 (2002)
• [文献書誌] Goldberg, Z.et al.: "Tyrosine phosphorylation of Mdm2 by c-Abl : mplications for p53 regulation"EMBO J.. 21. 3715-3727 (2002)
• [文献書誌] Matsuda K.et al.: "p53AIP1 regulates the mitochondrial apoptotic pathway"Cancer Res.. 62. 2883-2889 (2002)
• [文献書誌] Gottlieb, T.M et al.: "Cross-talk between Akt, p53 and Mdm2: possible implications for the regulation of apoptosis"Oncogene. 21. 1299-1303 (2002)
• [文献書誌] Oren, M et al.: "Regulation of p53 : intricate loops and delicate balances"Ann.N.Y.Acad.Scl.. 973. 374-383 (2002)
• [文献書誌] Oguchi, K.et al.: "Missense mutation and defective function of ATM in childhood acute leukemia patient with MLL gene arrangement"Blood. (in press). (2003)