研究課題/領域番号 |
12301002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 新二 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30114440)
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研究分担者 |
市川 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20223084)
鶴岡 賀雄 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (60180056)
島薗 進 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20143620)
村上 興匡 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (40292742)
池澤 優 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (90250993)
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キーワード | 方法論 / 宗教現象学 / 歴史学的解釈 / 類型論・構造論的解釈 / 宗教間対話 / ロック寛容論 |
研究概要 |
初年度にあたる本年度は、研究計画に沿って、歴史学的解釈と類型論・構造論的解釈の対比という視点から、宗教学諸学における学的方法論に関する諸論の整理・資料収集を各研究分野ごとに行うことに力を注いだ。それとともに、研究分担者の国際宗教学会出席によって、主として欧米の研究者との交流を実現し、海外での研究の進捗状況や論争状況を調査・整理することができた。 第一回研究会では、金井新二が、新比較主義(ニューコンパラティヴィズム)をめぐる最近の論争状況に国際学会での最新の知見を加味した発表を行った。これによって今後の議論・研究の共通基盤を共有するとともに、全体の方法性を確認した。具体的には、欧米における比較宗教学的研究およびそれに立脚する宗教現象学的な研究と、実証主義を標榜する経験科学的研究の対立の深刻化に直面して、両者の友好的相補的な関係の再構築が急務であるとの立場から、両者が実際にどのように相補的であるかを、各自の研究にそくして再検討し再確認するという方向性である。 第二回研究会では、星川啓慈、松村一男、金井新二が報告した。星川と松村は、第一回研究会で提示された問題意識・方向性を別な視点から捉え直すことによって発展させ、次年度以降の具体的な個別研究との接点を確保するこどができた。星川は、宗教間対話の歴史という具体的な研究課題を設定することによって、学的方法論の極端な抽象性に歯止めを掛けつつ、同時に、対話の類型論を展開した。松村は、金井の提示した、現象学派と経験科学派の対立という問題を、ミルチャ・エリアーデとジョナサン・スミスの論を突き合わせることによって深化させた。金井は歴史的現象学のあらたな試みを提示した。すなわち、17世紀イギリス革命の推移を概観して、そこに終末論から救済論への大きな構造転換が生じたことを指摘し、それを証左するものとしてさらにロック寛容論の分析を行った。
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