研究課題/領域番号 |
12301007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
秋山 弘子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10292731)
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研究分担者 |
池田 謙一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30151286)
山口 勧 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80134427)
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キーワード | 国際調査 / 国際比較統計 / 比較研究 / 調査方法 / 調査データ / データアーカイブ / 測定誤差 / サンプリング |
研究概要 |
本研究の目的は、社会調査データの国際的共用をめざして、日本の調査データの国際比較可能性をめぐる諸問題を研究し、その成果を内外の調査データ利用者と共有することである。初年度にあたる本年の目標は既存の国際比較調査研究を収集し、それらを調査方法論の視点から体系的に分析して問題点を集約することであった。 国際比較データには次の4類型がある。 1.ひとつの調査機関あるいは調査チームがすべての国の調査を組織し調査票を作成してデータを収集する。 2.ある国の調査機関あるいは調査チームが調査の自国で行い、それと同様の調査を他国の調査機関あるいは調査チームに依頼、委任する。 3.既存の類似した調査データを各国から取得して統計的操作によって測定値をできるだけ比較可能にする。 4.既存の調査統計(例、厚生白書)から数値(例、平均在院日数)をひきぬいて比較する。 調査データの国際比較における信頼性及び妥当性という観点では類型1の調査が一番望ましく、類型の番号順に低下する。問題点は次のように要約される。類型1と2の国際調査においてはサンプリングは各国の事情(例、ほぼ全国民を住民台帳で把握している日本とそのような制度のない米国)によってかなり柔軟に異なるサンプリング法を用いてもよいが、調査方法(面接、電話、郵送調査等)と調査票の内容は厳密な同等性を確保する必要がある。サンプリングの違いはかなりの部分、統計的に修正できるが、調査方法と調査項目の違いから生じる測定誤差と真の測定値の差は判別困難だからである。類型3のように既存データを取得して国際比較をする場合には、サンプリングや調査方法・内容の同等性を厳密に審査して、必要な場合にはサンプルにウェイトをかけたり、測定値の再分類をして各国のデータ間の同等性を最大限高める努力をする必要がある。類型4に該当する国際比較では、まず、既存の統計資料が比較可能なものであるか否かを正しく見極めることが重要である。そして、サンプリングや調査方法・内容に違いがある場合にはそれを報告し、国際比較の表なりグラフを読む場合、読者が注意すべきことを併記する必要がある。
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