研究概要 |
第2年度の主要な課題は社会意識・社会行動の基本的尺度を選択し、全国の面接調査でランダムプローブ法(Schuman, 1986)を用いて、代表性のある標本による実際の調査条件下での質問文の解釈ならびに回答の背後にある情報を収集し、定量的、定質的な分析を行うことであった。代表研究者の秋山が別個の研究グループと行った全国中高齢者調査(N=3, 286)に相乗りして10月に調査を行った。調査は中央調査社に委託、回収率は83%であった。現在、データのクリーニングを終えたところで、これから分析を始める。この調査はアメリカでも行われているので日本データの分析を終えた後、国際比較分析を行う予定である。 今年度のもうひとつの課題は潜在的連想テスト(implicit association test)を用いて、調査回答者が質問に回答したような態度を実際にもっているかどうか実験的に調べることであった。この方法は、コンピューターを用いて、回答者が意識していない、あるいは隠している態度を調べることを可能にするものである。実験では、自己卑下する必要性の有無が質問紙で測定する自己評価に与える影響について検討することを目的とした。日本人の自己卑下的な傾向が、状況に応じた自己呈示の結果であると考え、そして、その自己呈示の必要性をなくせば、本当の自己評価、が現れるだろうと仮定した。そこで今回の実験では、皮膚電気反射を測定するSCR Meterと音声を分析するTrusterという装置を用い、実験者が真の自己評価を知りえたと思わせることによって、自己卑下を行う必要性をなくし、日本人の『隠された』本当の自己評価を測定しようとした。具体的には、その装置を取り付けた場合は、取り付けない場合より自己卑下的な傾向が弱まり、自己評価が高くなるだろうと予測しました。結果は仮説を支持していなかったが、手続きを改善した追加実験を行うことを計画している。
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