研究分担者 |
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
伊藤 守 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30232474)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
山田 信行 駒沢大学, 文学部, 助教授 (80287002)
新原 道信 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (10228132)
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研究概要 |
(1)グローバル化とローカル化の同時進行が強調されて久しいが、それを言うだけでは不充分であり,もう一つインディビジュアル化が同時進行し、この3つのものの矛盾を孕んだ同時進行を捉えて初めて,問題の核心に至ることができる。今日ローカル、地域社会はグローバル化とインディビジュアル化を媒介するものとしてとりわけ重要である。 (2)現時点でわれわれは、3つの情報社会モデルを区別することができる。一つはシリコンバレー・モデル、すなわち市場が主導する開かれた情報社会モデルである。二つはフィンランド・モデル、すなわち福祉国家と情報社会が相互作用する福祉情報社会である。三つはシンガポール・モデル、つまり発展国家が主導する権威主義的な情報社会である。 (3)日本は、未だ独自の情報社会モデルを見出しているようには見えない。情報社会化といえば,市場主義が称揚されたり、その反対に市場の失敗、国家の失敗に学んだ「ボランタリー経済」の重要性が強調されたりしてきた。しかし三つの情報社会モデル、さらにはアジアの歴史に照らして考えても、福祉国家、発展国家の要因を無視して、情報社会の成功はおぼつかないのではなかろうか。要するに,三つのモデルの意識的、有機的なアーティキュレーションなくしては、情報社会化の成功はないのではないだろうか。 (4)以上の視角から、本研究は地域として、岐阜、神戸、高知、沖縄などに注目して、地域社会の動態を分析してきた。家族、福祉、国際交流、教育、産業、メディアなどの側面からするそれら地域社会の動態分析は、各地域の個別的な特性を浮き彫りにしてきたが、技術、経済、イノベーション度、教育、健康、福祉、政治、市民社会、グローバル度などの指標化を進めてそれらの地域を比較し,結果として情報社会,地域社会の発展は、三つのモデルのアーティキュレーションであることを実証したい。
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