研究課題/領域番号 |
12301009
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
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研究分担者 |
新原 道信 中央大学, 文学部, 教授 (10228132)
伊藤 守 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30232474)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
長谷川 裕 琉球大学, 教育学部, 助教授 (30253933)
山田 信行 駒澤大学, 文学部, 助教授 (80287002)
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キーワード | 地球情報社会 / 地域社会 / 地域統合 / 地域性 / 共同性 / ネットワーク / 発展国家 / シナジー |
研究概要 |
本研究の最終年にあたり、研究のまとめ、補充調査を行い、それらを報告書に取り纏めた。その結論は、以下の通りである。 (1)今日の地域社会は、国民国家の上方に向かっては、地域統合によって形成された地域統合社会(地球社会、EU等)を、また下方に向かっては既存の地域社会の絶えざる再編成によって実に様々な地域社会を持つようになっている。すなわちこの問題は、複雑な単位問題を抱えている。 (2)地域社会の従来の2大メルクマールであった地域性と共同性は、大きく変化している。地域性はネットワーク性によって取って代わられ、範域の可塑性を高め、共同性は、人々が強い紐帯を使って包括的に欲求を充足するというよりも、弱い紐帯を使って多元的に欲求を充足するようになるにつれて、個別性・複数性を強めつつある。 (3)今日の地域社会が抱える単位問題は、地球大の地域社会から身の回りの地域社会に至る、どの単位をもって地域社会と考えるのかという問題であり、かつまたその単位をその他の地域社会(とりわけグローバル社会)との関係において考察することが必要不可欠となる。 (4)これまで発展国家を駆使して現代化を遂げてきた社会においては、国家のあり方も重要な発展の条件になる。国家が権威主義的な介入・統制をやめ、地域の民主化、主体性を涵養する方向をとることが発展にとって重要である。もしも国家が徹底的に民主化されそれが、人々が生きるための必要不可欠な条件を整えることに徹すれば、大きな発展の可能性が開けてくる。 (5)今日の地域は、従来からあった地域の共同性を、新しい技術基盤、新しい社会形態に合わせて作り代え、ネットワークを編成し、革新的なミリューを整えるとともにシナジーを持つものにすることによって、発展が可能になる。また地域発展のためのイシューは、ネットワーク経済、環境、福祉、使用価値としての地域社会など、様々なものが考えられる。
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