研究課題/領域番号 |
12303002
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
宮川 公男 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (60017473)
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研究分担者 |
大山 耕輔 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (40185400)
山本 清 国立学校財務センター, 研究部, 教授 (60240090)
田尾 雅夫 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40094403)
吉田 浩 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60275823)
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キーワード | 行政改革 / 業績管理 / 非営利組織 / 地方分権 / バランスト・スコアカード / PBO |
研究概要 |
本年度は、主として米国とわが国との行政改革について国際比較研究を実施した。得られた知見は、以下のとおりである。 1.行政改革の背景には、米国においても政治・行政に対する信頼性の低下を新しい行政理念の実現を通じて克服しようとする政治の動きがある。ただし、連邦政府は自ら行政サービスの実施を行うことは少なく、州・地方政府及び非営利組織への財政支援や法的整備に止まることから、ネットワーク的な経営を可能にすることが今後の課題である。 2.連邦政府内の経営改革としては、英国のエージェンシーに似た業績基準組織(PBO)の設置がクリントン政権下で提言されたが、現在のところ2機関にすぎない。こうした状況は、連邦政府における行政システム自体が多くの自律的機関によって運営されてきた歴史的経緯が影響している。企画立案と実施の分離というより、政府の政策中枢部と執行が英国と異なり既に分離しているからである。 3.地方分権においては、コロラド州を事例に調査研究を行ったが、わが国の一部事務組合的な地方政府をまたがる連合的かつ自主的な組織により広範な行政サービスが実施されている。わが国では自治体の合併が話題になっているが、千人未満の人口規模の地方政府が水道・消防などの基本サービスについて非営利組織で実施している形態は参考になる。 4.財務会計制度の改革においては、アングロサクソン諸国のなかでも説明責任と業績評価に重点をおいた制度であり、英国のように財政運営に正味資産や純負債を利用する動きはない反面、バランストスコアカードの利用のように管理会計的手法の活用が盛んである。経営科学と財務・会計との境界が少ないことによると推定される。
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