研究課題/領域番号 |
12303004
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 一弘 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (70314466)
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研究分担者 |
小島 健司 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (50121455)
内藤 文雄 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (80188862)
加護野 忠男 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (80030724)
岸田 雅雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10030644)
延岡 健太郎 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (90263409)
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キーワード | 企業ガバナンス / 制度と慣行 / ガバナンスの人的側面 / カネとヒトの統合 / ガバナンスのパフォーマンス |
研究概要 |
本研究は平成12年度から3年度にわたって行われてきたものであり、今年度は最終年度に当たる。この1〜2年、企業ガバナンスの制度と実態を巡る動きにはめまぐるしいものがあり(例えば我が国では平成14年商法改正(平成15年4月施行)により、大企業が米国型のガバナンス形態を選択することが可能になった)、今年度もまた現実の変化をフォローしながら研究を進めるという状況であった。 今年度も引き続き慣行と制度という2つの切り口から研究課題にアプローチした。この2つの切り口のもと、これまで同様、株式所有構造、企業金融、会社機関、監査制度等、通常、ガバナンスで問題にされる諸側面についての研究を深めた。紙幅の関係から、これらの詳細については別途「研究成果報告書」をご参照いただくとして、ここでは、今年度の研究から新たに付け加わった諸成果の一つとして、次の点を述べておくこととしたい。 それは、これまでの一連の研究を足がかりとしながら、ヒトすなわち従業員とガバナンスという新たな側面の探究が行われたことである。従業員とガバナンスの関係に正面から取り組んだ研究は、すでに海外ではM. RoeやM. Blairらの業績が知られているが、我が国企業では一部を除いてこれまであまり見られなかった。 しかも本研究でとりわけ特徴的なのは、ヒトの問題のみにとらわれるのではなく、ヒトとカネ(株式所有構造や企業金融構造)とを両睨みすることの重要性が浮き彫りにされたことである。どの国についてであれ、企業にとって2つの本源的インプットであるヒトとカネという両者の相互作用ないしはバランスに注目してこそ、ガバナンスの慣行など実態面を深く的確に分析することが可能になる。また、こうした視点をもつことが、ガバナンスに係る制度の設計にとっても極めて重要であると考えられる。ガバナンスの国際比較を深く掘り下げるには、ヒトとカネの両側面を個々に比較するのではなく、これらから成る総体として企業を把握した上での比較が求められるであろう。 以上
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