研究課題/領域番号 |
12304009
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
大橋 隆哉 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (70183027)
|
研究分担者 |
佐々木 伸 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80262260)
山崎 典子 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20254146)
石田 学 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20249931)
藤本 龍一 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助手 (20280555)
石崎 欣尚 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10285091)
|
キーワード | X線天文学 / 星間物質 / 銀河間物質 / マイクロカロリメータ / 宇宙観測 / 銀河団 / 科学衛星 |
研究概要 |
本研究の目的は、ラインX線を用いて、宇宙に広がる高温プラズマからのX線放射を観測し、宇宙がダイナミカルに進化する姿を観測的に捉えることにある。そのために、「あすか」等のX線天文衛星を用いた観測的研究、そして高温ガスを中心とした宇宙の進化の理論的研究、さらに将来のX線観測を目指したエネルギー分解能の優れた検出器の開発という3本の柱を立てて研究を進める。X線観測では、「あすか」による銀河団のマッピング観測のデータを総合的に解析し、多くの銀河団の中に顕著な温度構造があることを発見した。特にケンタウルス座銀河団、ペルセウス座銀河団では、場所によって2倍以上もの温度変化のあることがわかり、これらの銀河団が小銀河団の合体・衝突によって成長してきたことが明確になった。多くの銀河団がこうした温度構造をもっていると考えられ、Astro-E2によるドップラー分光観測によってガスの大規模な運動が見つかる可能性が高まった。理論的には、クーリングフロー仮説の見直しを行い、ガスの冷却を補うようなエネルギー源にはどういう性質が要求されるかを検討した。一方、将来を目指してエネルギー分解能の高いTES型マイクロカロリメータの開発を進めた。特に今年度はセイコーインスツルメンツとの共同でSiNの薄膜上にTi-Auの二層薄膜のTESを製作し、都立大でX線照射試験を行った。結果的に、昨年度の99eVに対して、本年度はエネルギー分解能を25eVまで向上させることができ、性能的には大きな進展が達成された。本年度は、都立大に専用のスパッター装置が導入され稼動を始めている。来年度は、これによりさらに質の良いTESの製作とエネルギー分解能の向上が期待される。
|