研究課題/領域番号 |
12304011
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩崎 洋一 筑波大学, 物理学系, 教授 (50027348)
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研究分担者 |
金谷 和至 筑波大学, 物理学系, 教授 (80214443)
青木 慎也 筑波大学, 物理学系, 教授 (30192454)
宇川 彰 筑波大学, 物理学系(計算物理学研究センター), 教授 (10143538)
石塚 成人 筑波大学, 物理学系(計算物理学研究センター), 助教授 (70251030)
吉江 友照 筑波大学, 物理学系(計算物理学研究センター), 助教授 (40183991)
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キーワード | 標準模型 / 格子量子色力学 / 数値シュミレーション / CP非保存 / Bパラメータ / B中間子 / ドメインウォールフェルミオン / チャーモニウム |
研究概要 |
最終年度である本年度は以下の主たる結果を得た。 1)η'中間子質量 既に従前より行って来たフレーバー数Nf=2の大規模シミュレーションの最後の懸案であるη'中間子質量について、smeared sourceを用いて励起状態からの寄与を制御した最終的な解析を行い、連続極限で質量値0.960(87)^<+36>_<248>MeVを得た。 2)非等方格子の方法によるfu11 QCDシミュレーション 重いクォークの物理や有限温度QCD等のシミュレーションにおいて、時間方向の格子間隔a_lを空間方向の間隔a_sより小さく取った非等方格子の方法が有効である。フレーバー数Nf=2の動的クォークに対して、クォーク作用・グルオン作用に現れる非等方パラメータを、a_s/a_l=2の場合に決定した。さらに、非等方パラメータを定める条件を変えて同様な決定を行い、二つの場合に物理量を計算して、連続極限値が一致することを確認した。 3)full QCDにおける軽いクォークのシミュレーション QCDから物理予言を引き出す上で、クォーク質量についての外挿は、最も問題のある点である。HMCアルゴリズムを用い、粗い格子間隔(a=lGeV)で、フレーバー数Nf=2の動的クォークに対して、クォーク質量をm_π/m_ρ=0.4まで下げたシミュレーションを行った。その結果、m_π/m_ρ=0.6程度までのデータに基づく結果に比べ、カイラル極限での物理予言には10%程度の系統的差異が生じること、またHMCアルゴリズムに不安定性が生じることを見出した。 4)Nf=2+l full QCDのための0(a)改善作用の決定 今後のQCDの最大課題である、up, down, strangeの三種類の軽いクォーク全てを動的に扱うシミュレーションを実現するために、完全に0(a)改善された作用を用いるべく、繰り込み群で改善されたグルオン作用に対してクォーク作用のクローバー係数の決定を行った。今後この作用を用いて大規模シミュレーションを実施する予定である。
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