研究課題/領域番号 |
12304013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今井 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025493)
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研究分担者 |
與曽井 優 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80183995)
舟橋 春彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00283581)
齋藤 直人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20321763)
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キーワード | ハイペロン / ハイパー核 / ストレンジネス / TPC / エキゾティック粒子 / QCD |
研究概要 |
この研究の目的はphotonおよびhadronビームによるハイペロン核子相互作用の研究である。今年度はSpring8でのGeVガンマ線ビームによるハイペロン生成実験のためのTPCを完成させた。特にプリアンプ、アンプ、FlashADCなどの読み出し回路のそれぞれについて、試作とTPCに接続してのテストを重ねて目標性能を達成して約1200チャネルを製作した。 これでTPCが完成し次年度から実験に使用できることになった。この性能などについてはPANIC国際会議などで報告しその特徴が注目された。さらにこのTPCを用いるΛ(1405)などのハイペロン光生成の実験提案が審査委員会で第一優先度で採択された。 KEKでは閾値近辺でのHダイバリオン共鳴の探索実験を提案、採択され、短期間の集中的な準備期間を経て実験を行った(E522)。従来の実験でその存在可能性が示唆されていたものの統計が不十分だったが、その6倍の統計のデータを得た(次年度も実験を行う)。この実験では1.7GeV/cのK-ビームとscintillating fiber検出器を用いた。ΛΛ共鳴だけでなくΞN散乱断面積の測定やK原子核束縛状態の探索を行った。Spring8でのこれまでの実験データの解析から、K+nのチャネルに1540MeVに共鳴を見出した。これは5quark状態のはじめての明確な事象である。KEK-E522でもπビームを使ってこの共鳴を確認すべく磁気スペクトロメータとscintillating fiber visual検出器を用いて大量のデータを取得した。これらのほかハイパー核のガンマ線分光でも成果をあげ、全体として極めて生産的な1年であった。
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