研究課題/領域番号 |
12304015
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40107438)
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研究分担者 |
関山 明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (40294160)
今田 真 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (90240837)
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キーワード | 軟X線 / 光電子 / バルク / 角度分解光電子分光 / 強相関物質 / フェルミ面 / バンドマッピング / 高分解能 |
研究概要 |
銅酸化物高温超伝導体やMnペロフスカイトなどは機能性物質として近年注目を集めている。これらの物質はSiやGaAsなどの半導体と比べ、電子間のクーロン反発(いわゆる電子相関)が大きく、電子の移動エネルギーあるいはバンド幅との関係で金属にも絶縁体にもなりうる。それゆえ金属-絶縁体転移の研究は強相関系の研究で重要な役割を占める。 ところで強相関系物質では表面では最近接原子数が半減するため、電子相関効果が顕著となり、バルクとは全く異なる電子状態を取る場合が少なくない。それゆえ電子状態の強力な測定方法とされている光電子分光も、その表面敏感性のゆえに万能な測定手法とは言えない。バルク電子状態を探るには光電子の運動エネルギーを数百eV以上にとり、平均自由行程を10A程度以上に取ることが望まれる。この手法の有効性に注目しSPring-8においてバルク敏感な光電子分光を開拓してきたが、装置の改良をもとにバルク敏感な角度分解光電子分光分解光電子分光に世界ではじめて成功した。その結果、これまで低エネルギー角度分解光電子分光と他のバルク測定で矛盾のあったSr_2RuO_4のバルクにおけるフェルミ面形状の決定に成功した。またLaSrCuO_4高温超伝導体におけるバルク敏感フェルミ面は低エネルギーで観測されてきた表面敏感フェルミ面形状と定量的に異なることも分かってきた。このような違いはこれら強相関系の電子状態の議論にとって本質的であり、この分野に大きなインパクトを与えつつある。 ミクロ領域の分光については、ナノメートルスケールの磁性体についてスピン偏極STM観測とSTSに成功した。これらの結果はスピン偏極正逆光電子分光やこれまでやってきた光電子顕微鏡の結果と比較参照することで磁性体研究の新しい展開を促しつつある。
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