研究課題/領域番号 |
12304018
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤森 淳 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10209108)
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研究分担者 |
瀬戸 誠 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (40243109)
那須 三郎 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (00030057)
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70068138)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | Fe酸化物 / 電荷分離 / 単結晶薄膜 / 単結晶育成 / メスバウアー分光 / 超高圧 / 光電子分光 / 軌道秩序 |
研究概要 |
・異常高原子価状態にあるFe^<4+>およびCo^<4+>を含むペロブスカイト型酸化物SrFeO_3、CaFeO_3、SrFe_<0.5>Co_<0.5>O_3の単結晶薄膜を、レーザー蒸着法とオゾンによる強力酸化を組み合わせることで作製に成功した。SrFeO_3薄膜において、異常なHall効果を見出した。 ・ペロブスカイト型鉄酸化物の電荷不均化を、光電子分光とHartree-Fock近似バンド計算を用いて調べ、CaFeO_3では電子-格子相互作用が重要であるのに対して、La_<1/3>Sr_<2/3>FeO_3では電子系だけで不均化がおこっていることを見出した。 ・CaFeO_3、Sr_<2/3>La_<1/3>FeO_3の高圧下メスバウアー分光測定を行い、電荷不均一化反応や磁気秩序温度の圧力依存性を明らかにした。特に、Sr_<2/3>La_<1/3>FeO_3が高圧下でキューリー温度の高い強磁性体であることを発見した。 ・反強磁性体である2層構造ペロブスカイト型鉄酸化物Sr_3Fe_2O_7、3層構造ペロブスカイト型鉄酸化物LaSr_3Fe_3O_<10>のメスバウアー分光を行い、電荷不均化を見出した。また、磁気構造が、Sr_3Fe_2O_7においてはヘリカルスピン構造、LaSr_3Fe_3O_<10>ではcollinear構造であることを明らかにした。 ・CaFeO_3、La_<1/3>Sr_<2/3>FeO_3の放射光核共鳴非弾性散乱を電荷分離温度近傍で行い、CaFeO_3においてFe原子の局所フォノン状態密度の変化を観測した。 ・CaFeO_3、La_<1/3>Sr_<2/3>FeO_3の放射光核共鳴散乱の温度変化測定で、磁気転移に伴う弾性散乱強度の変化現象を発見した。 ・ペロブスカイト鉄酸化物DyFeO_3に対して、元素を選択した^<161>Dy、^<57>Fe放射光核共鳴非弾性散乱測定およびX線非弾性散乱を行い、フォノン状態密度における各原子の寄与の同定およびシェルモデルを用いる事によりそれらの振動モードとの対応をつけた。 ・軟X線吸収分光とその円偏光磁気二色性の測定により、Co置換により強磁性に転移するSrFe_<1-x>Co_xO_3の電子状態と磁気状態を明らかにした。 ・高圧下でPrNiO_3の単結晶試料を育成し、放射光X線回折と電子線回折によって、金属絶縁体転移温度において斜方晶から単斜晶への対称性の低下があることを見いだした。さらに、単斜晶の絶縁体相ではNiイオンの電荷不均化が起こっていることを確認した。 ・高圧下で三斜晶ペロブスカイトBiNiO_3を合成、AサイトがBi^<3+>とBi^<5+>に不均化した特殊な構造を持つことを明らかにした。また、Biイオンを一部La^<3+>で置換すると、置換量に依存する温度で絶縁体-金属転移が起こることを見いだした。 ・金属-絶縁体転移を示すペロブスカイト型Ni酸化物の金属相に、通常のパウリ常磁性相と擬ギャップを示すキューリー常磁性相の2種類の状態が存在することを、光電子分光の測定結果に基づき提唱した。
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