• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

レーザー光を用いた中性分子のマニピュレーションとその応用

研究課題

研究課題/領域番号 12304020
研究機関東京大学

研究代表者

酒井 広文  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20322034)

研究分担者 峯本 紳一郎  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90323493)
キーワード非共鳴誘起双極子 / 分子の配向制御と配列制御 / 化学反応ダイナミクス / 配置効果 / 選択的制御 / 2次元イメージング / 分子光学 / 断熱領域と非断熱領域
研究概要

本年度は特に、静電場とレーザー電場の併用による分子の頭と尻尾を区別した配列制御の実現を目指して研究を進め、実際に明確な証拠を観測することに成功した。実験では、昨年度開発した装置を飛行時間型(Time-Of-Flight : TOF)イオン分析モードで使用し、その特性を最大限利用した。上記の手法の静電場としてイオンの加速電場を、レーザー電場としてナノ秒Nd : YAGレーザーの基本波を用いた。プローブ用フェムト秒チタンサファイアレーザー光の偏光方向をTOF軸と平行にして入射した場合、フラグメントイオンには一般にその初速度が検出器方向かあるいは反対方向かに対応してforward成分とbackward成分が現れる(TOFスペクトル)。Nd : YAGレーザー光を照射しない時は、TOFスペクトルの形状はほぼ対称であり、分子がランダムな方向を向いている結果と解釈できる。一方、Nd : YAGレーザ光を照射すると、TOFスペクトルに明らかな非対称性が観測された。これは、試料分子が配列を起こした結果と解釈できる。実際、この非対称性は試料分子の電気陰性度に関する簡単な考察から予想されるものと一致した。配列度を決める3つのパラメータは、レーザー光の強度と静電場の大きさと分子の回転温度である。実験でも、レーザー光や静電場を強くしたり、分子の回転温度を下げることにより配列度を大きくできることを確認した。今回、試料分子として、主にOCSを用いたが、OCSと比べると条件の悪いHClについても同様の効果を確認した。
上記の実験と理論との比較のため、シュレーディンガー方程式を数値的に解くための計算コードの開発を並行して進めた。分子の回転周期に比べて配列がゆっくり進む断熱領域における計算結果は上記の実験結果を支持するものであった。さらに、非断熱領域における配列過程の時間発展を調べるための計算コードの開発も行った。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Tsuneto Kanai, Hirofumi Sakai: "Numerical simulations of molecular orientation using strong, nonresonant, two-color laser fields"Journal of Chemical Physics. 115・13. 5492-5497 (2001)

  • [文献書誌] Hirofumi Sakai, Jakob Juul Larsen, C.P.Safvan, Ida Wendt-Larsen, et al.: "(Invited paper) Alignment of neutral molecules by a strong nonresonant linearly-polarized laser field"Laser control and manipulation of molecules. (To be published). (2002)

  • [文献書誌] A.Bartelt, S.Minemoto, C.Lupulescu, S.Vajda, L.Woste: "Control of wavepacket dynamics in mixed alkali metal clusters by optimally shaped fs pulses"European Physical Journal D. 16・1-3. 127-131 (2001)

  • [文献書誌] C.Daniel, J.Full, L.Gonzales, C.Kaposta, M.Krenz, S.Minemoto, et al.: "Analysis and control of laser induced fragmentation processes in CpMn(CO)_3"Chemical Physics. 267・1-3. 247-360 (2001)

  • [文献書誌] S.Vajda, A. Bartelt, E.-C.Kaposta, T.Leisner, S.Minemoto, et al.: "Feedback optimization of shaped femtosecond laser pulses for controlling the wavepacket dynamics and reactivity of mixed alkaline clusters"Chemical Physics. 267・1-3. 231-239 (2001)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi