研究課題/領域番号 |
12304022
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
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研究分担者 |
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (30252638)
関本 謙 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00179342)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 化学-力学共役 / サーマルラチェット / ブラウン運動 / 有効エネルギー / 回転弾性率 / 分子モーター / アクトミオシン |
研究概要 |
蛋白質は、一般にATPがADPとリン酸に加水分解するとき生じる化学エネルギーを使って、生命活動に必須な仕事をしている。しかし、蛋白質が、この化学エネルギーをどのように使って仕事をするのかという基本的な問題がまだ解けていない。本研究は、アクチン・ミオシン分子モータを例とし、ATPの化学エネルギーで励起されることによって蛋白質の有効温度が本当に上がるのかを直接測定し、そして、実験結果をベースにモデルを構築することを目的として行った。3年間に得られた主な研究実績は以下の通りである。 1)ミオシンと相互作用中のアクチンフィラメントの有効温度を直接測定するための実験系を開発した。2つのプラスチックビーズを光ピンセットで捕捉し、この間にアクチンフィラメントを張る。アクチン両端のビーズの回転角の差から回転ブラウン運動を測定し、角度変化の2乗平均とブラウン運動の緩和時間から有効温度を定量する。 2)ATP存在下でミオシンと相互作用しているアクチンの回転揺らぎを測定した。1ATPの加水分解当たり36nmの変位を持つミオシンVIが運動するときの回転を計測し、36nmx5回の変位当たり約45°の回転運動を観察した。この値は螺旋に沿った単純な歩行モデルでは説明できない。 3)ミオシン分子は熱ゆらぎによりアクチン線維のサーマルラチェットに沿ったブラウン運動をおこなっている。1分子計測により求めた前後のステップ頻度の差から、エネルギー障壁の差は2-3kBTであることが分かった。別の分子モータであるキネシンでも同様の実験から3kBTのエネルギー障壁の差があることがわかった。
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