研究課題/領域番号 |
12304023
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 雅孝 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (80027292)
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研究分担者 |
田所 敬一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (70324390)
山田 功夫 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (60022670)
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40165197)
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キーワード | 海底地殻変動 / 音響測距 / GPS / 南海トラフ / 駿河湾 / 静岡県水産試験場 |
研究概要 |
日本列島周辺には太平洋プレートやフィリピン海プレートが沈み込み、海溝沿いに巨大地震が発生する。近年、国土地理院によって日本列島上のGPS連続観測網(GEONET)が整備されたが、日本列島周辺のプレート境界はそのほとんどが海底下に存在するため、沈み込み帯での巨大地震の予知や研究には陸上の観測点だけでは不充分である。したがって、海底での地殻変動観測が不可欠である。本システムは、キネマティックGPS測位と、船と海底に設置した機器(以下、海底局)との距離を超音波信号によって測定する技術(音響測距)を組み合わせたものである。キネマティックGPS測位とサテライトコンパスによる船の姿勢データによって位置決定された船上のトランスデューサー(以下、船上局)からその信号を送信し、海底局が受信した場合、波形データを理論波形と相互相関処理により、船上局-海底局間の往復走時を求め、船上局の位置データと併せ、海底局の位置を測定するというシステムである。 2002年8月1日、駿河湾内に2台の海底局を設置し、その後、8月2日、26日、9月2日、27日、10月16日と計6回の観測を行なった(10月17日に回収)。GPS陸上基準点は東海大学海洋学部(静岡県清水市)屋上に設置した。キネマティックGPS解析にはPinnacle、PNAVを用いた。音響波形解析にはSACを使用し、相関処理を行なうことにより、往復走時を見積もった。半無限速度構造モデル(1490m/msで固定)により、位置決定を行なった結果、単独誤差は、各観測日程とも数cm程度におさまったが、長期観測としての系統誤差は、1mも変化したものもある。 大きな残差は、音速構造の不均質性、GPS測位の系統誤差、速度構造モデルの影響によるものと考えられる。海底地殻変動を長期にわたり、高い精度で測定するために、これらを解決する必要がある。
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