研究概要 |
研究の目的に従い、本年度は(1)古地磁気強度実験の標準化とその結果の解析、(2)火山岩試料を用いた古地磁気強度実験、(3)ダイナモ・シミュレーションの計算とその結果の解析、に力を注いだ。 (1)の目的のためには本研究費の備品費によってMicromag3900型振動磁力計を導入し、常温及び高温でのヒステリシス(Js,Jr,Hc)測定、直流消磁法による残留磁化保磁力(Hcr)の測定、飽和磁化の温度変化とキュリー点の決定が行い得るよう整備した。この振動磁力計は今後の磁場強度測定実験において、サンプルを選別するためにルーチン的に用いられる。一方これまでに発表されているデータを用いて、逆問題解法によって過去500万年間の平均磁場とその変動範囲を求めた(Kono,Tanaka,and Tsunakawa,2000)。 (2)の目的では中国北東部の白亜紀溶岩を試料として実験を行った。予察的な結果では磁場強度は現在の約1/2と弱い。白亜紀の逆転がない期間(Cretaceous Long Normal)は磁場強度が強かったとする考えも出されているが、今回の結果はそれには否定的である(Tanaka,Zheng,and Kono,準備中)。 (3)においてはSakuraba and Kono(2000)およびKono,Sakuraba,and Ishida(2000)の2論文を発表した。前者はマグネトコンベクションの計算により磁場が強められるメカニズムを調べたものである。一方後者はダイナモのモデル計算の結果を地磁気や古地磁気の観測から知られる地球磁場の性質を比較したもので、パラメータこそかなり違うが、地球磁場のいろいろな性質がモデルによってよく再現されていることがわかる。
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