研究概要 |
今年は古地磁気データ解析とダイナモ・シミュレーションの結果の解析に集中し,この両面でかなりの発展があった.一方,古地磁気強度実験については,前の2つの点に時間を使ったためあまり進展しなかった.具体的な実績は下記のとおりである. (1)古地磁気データ解析では,永年変化があるときの古地磁気方位の平均値がどのように影響されるかを展開式とモンテカルロ法による数値実験の両面から見積もった.磁場の時間的な変動があると,特に伏角は南北両半球ともに浅くなることが示された(Hatakeyama and Kono, PEPI, 53, 31-44, 2001). (2)ダイナモのベンチマークテストに参加し,Sakuraba and Kono(1999)のコードがどのような計算結果を出すかを調べた.その結果,他の信頼できるグループのものと非常によい一致を示すことがわかった(Christensen et al., PEPI,123,25-34,2002). (3)これまでに出されたダイナモシミュレーションの結果を相互に比較するためには,無次元数を同じ定義で比べなければならない.特にレーリー数についてグループごとに定義が大きく異なっているので,球内の対流を考える時にどうするのがよいかを論じ,もっとも適切な定義を提唱した.この定義では,熱対流の場合も組成対流の場合も含まれる(Kono and Roberts, PEPI, 128, 13-24, 2002). (4)世界中で,これまでに3次元非線形ダイナモのシミュレーション結果を発表したのは全部で9グループである.これらの結果の比較を行った(Kono and Roberts, Reviews of Geopysics,印刷中,2002).
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