研究概要 |
今年度は、実験・データ解析・ダイナモ理論のそれぞれにおいて以下の成果をあけることができた。 (1)以前に試料を採集しまた古地磁気学的な測定も行っていた、中新世から鮮新世とされる中国内蒙古自治区の玄武岩試料について、K-Ar法による年代決定を行ったところ、一部の岩石の噴出年代は白亜紀までさかのぼることが判明した。このため、新しい年代値を用い、古地磁気データやテクトニクスについて再考察を行った(Zheng, Tanaka, Tatsumi, and Kono,2002)。 (2)上記の試料を用い、テリエ法によって古地磁気強度を求める実験を行った。白亜紀上部は地磁気逆転がほとんど起こらなかった時期(Cretaceous Long Normal)として知られており、この期間の磁場の強度は平常より強かったとする意見と弱かったとする意見がある。今回の実験からは、80-90Maの年代を持つ4つの玄武岩台地について、双極子モーメントの値として2-8x10^<22> Amが得られた、これは平均より低い磁場強度を示している(Tanaka and Kono,2002)。 (3)過去500万年間の平均磁場と変動成分(永年変化)を同時に決めたモデルを、古地磁気方向データから導くことに成功した(Hatakeyama and Kono,2002)。 (4)1995年以来2000年までに発表された3次元非線形ダイナモモデルについて詳しい検討を行い、これらのモデルに共通しておりかつ地球磁場の性質もよくあらわしていると思われるいくつかの点を物理的な基礎とともに明らかにした。また、これらのモデルの示す諸性質と主に古地磁気的な観測から知られている地球磁場の性質の比較を行った(Kono and Roberts,2002)。
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