研究概要 |
今年度は以下の研究成果をあげることができた。 1 古地磁気強度実験 アイスランドの第三紀溶岩について強度決定実験への適応性を調べる目的で熱磁気分析を行った。試料は,Lundarhals, Storutjarnir, Jokuldalur, Sudurdalurから採集されたもので、溶岩の枚数は300を超える。この実験はまだ継続中であり、続いて熱磁気分析結果に基づいて試料を選び、古地磁気強度実験を行う予定である。 2 ダイナモ理論 これまでに発表された地球ダイナモの数値モデルを広くレビュウして、多くのモデルにほぼ共通する性質を導いた。主な点は、回転に強く影響され回転軸方向にのびた対流渦が同心円上に並ぶこと、これらの渦が外核表面に接するところでエクマン収束・発散により対流渦は回転軸方向の速度成分を持つこと、これらのらせん運動によりヘリシティがうまれアルファー効果とよく似た仕組みにより磁場が再生強化されること、などである。 これらのダイナモモデルは、地球のパラメターとはかなり異なる値で計算されている(特にエクマン数およびレーリー数が数桁違う)。このため本当の地球ダイナモの状態はまだよくわからないが、上に述べた各種の性質は地球型のダイナモではいずれも成立しているのではないかと想像される。ただこの点は今後の研究に待たなければならない。このように地球型のダイナモについてかなりのことがわかったと思われるので、これらの理解に基づいて太陽系内のさまざまな惑星や衛星のもつ磁場の成因についてのレビュウを行った。木星や土星は金属化した水素やヘリウムの層でのダイナモ作用で、地球型とはかなり異なる。
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