研究分担者 |
松田 博貴 熊本大学, 理学部, 助教授 (80274687)
松田 伸也 琉球大学, 教育学部, 助教授 (30157317)
大村 明雄 金沢大学, 理学部, 教授 (70019488)
杉原 薫 福岡大学, 理学部, 助手 (90320275)
山田 努 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50321972)
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研究概要 |
本研究の目的は,造礁サンゴ化石(ハマサンゴ)の酸素同位体比および金属濃度から,過去1万年間の表面水温を精密に復元することである.この目的達成のためには,(1)続成作用を被っていないサンゴ化石が大量に得られること,(2)その年代が過去1万年を網羅すること,という2つの条件を満たす場所を選定する必要がある.そこで,琉球列島の中で,完新世段丘が最もよく発達する喜界島で試料を採取することを計画した.喜界島の全域にわたる慨査の結果,南部の荒木海岸に発達する完新世段丘を構成する堆積物は,主に礁斜面上部で形成されたもので,非常に多くのハマサンゴを含むことが分かった.そこで,本研究では荒木を主たる研究試料の採取地点とすることに決定した.試料の採取に先立って,海岸にほぼ直交する測線を4本設定し,これらの測線に沿って光波測量計を用いて段丘地形を詳細に調べた.その結果,本地点に4面の段丘が発達することが判明した.また,測線に沿って約10m間隔で1mx1mの方形区を設置し,化石サンゴ群集の定量的な調査を行い,それぞれの段丘内における堆積環境(サンゴ礁の微地形との対応関係)を詳細に決定した.これらの地形・堆積物の調査終了後にハマサンゴ群体を採取した.すべての採取群体について,産状の写真記録をとり,産出位置を光波測量計で測定した.採取した個体数は約100個である.現在,これらの群体を約6mm厚のスラブにし,軟X線写真を撮影し,骨格の年輪を観察する作業を進めている. 一方,サンゴの炭素・酸素同位体比を大量に分析するために導入した安定同位体比質量分析計delta S用炭酸塩自動分析システムは,立ち上げ作業を完了し,現在順調に稼動中である.今年度は,本研究の関連資料であるグアム島産ハマサンゴ群体の分析を行い,過去13年間の温度および塩分変化を詳細に復元することができた.
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