研究概要 |
平成14年度の研究計画・目標と実績は以下のとおりである。 1.ビーム照射真空槽,試料観察顕微鏡,及び制御部の調整と整備 ビームの収束制御,ビームサイズ観測,ビーム電流値の計測,並びに顕微鏡の焦点や倍率の調整をコンピューターによって行うシステムが完成し,ビーム直径30ミクロン,電流100pAのマイクロビームが常に安定に得られるようになった。 2.同時計数ERDA法の開発 共鳴核反応に加えて,陽子-陽子弾性散乱を同時計測により観測し,厚さ0.2mmの岩石・鉱物試料に対して感度10wt. ppm,深さ分解能5ミクロンで水素濃度を測定する手法が確立した。これによって研究目的と試料の特性に応じて共鳴核反応法と組み合わせ,幅広い要請に応えることが可能になった。 3.標準試料の作製とスペクトル解析プログラムの整備 標準試料として,水素イオンを注入したシリコン薄膜を作製して水素濃度の絶対値の較正を行い,標準試料が完成した。スペクトル解析プログラムについては,実験で得られたスペクトルから最小自乗法に基づくアンフォールディングによって,最も確からしい水素濃度分布を算出するプログラムが完成した。 4.人工及び天然試料の水素分析 広島原爆の中性子線量再評価に必要なデーターとして,広島市・元安橋の橋桁の御影石に含まれる水素の分析を行った。また,山形県蔵王町円田で採取した火山灰中の流体位有物の水素分析を行い,重量%にして数%の水素が検出された。
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