研究課題/領域番号 |
12304038
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤阪 健 筑波大学, 化学系, 教授 (60089810)
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研究分担者 |
永瀬 茂 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (30134901)
若原 孝次 新潟大学, 自然科学研究科, 助手 (40303177)
佐藤 総一 筑波大学, 化学系, 講師 (90280908)
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キーワード | 金属内包フラーレン / スーパーアトム / La@C_<82> / アニオン種 / 熱的ケイ素化 / 酸化還元電位 / レドックス物質 |
研究概要 |
金属原子がフラーレンの空洞内にトラップされ外界から隔離された金属内包フラーレンは、一つの巨大擬似原子ースーパーアトムー、即ち、金属元素とフラーレン分子からなる全く新しい複合元素としての性質を持つと予想される新奇な物質である。ランタニド金属原子がフラーレ唐フ炭素ケージの中に内包されたLa@C_<82>は、La(3+) C_<82>(3-)の電子構造をもち、その酸化還元電位は、空のフラーレンよりも低い。一方、C_<60>のアニオン種であるフレロイドはフラーレン超伝導体の発見にともない、種々の酸化数のイオン種が合成単離され、その興味ある物性が研究されている。金属内包フラーレンはそれ自身がすでにアニオン種としての本質を有していることから、酸化数による物性の変化に非常に興味がもたれる。そこでこれらの金属内包フラーレンの酸化及び還元反応を電気化学的な手法を用いて行い、レドックス体を合成し、その安定性、反応性さらに物性について検討を行い、レドックス物質としての機能発現を開発した(赤阪、若原、永瀬担当)。また、これら金属内包フラーレンの光化学的および熱的ケイ素化についても検討をおこなった(赤阪、若原担当)。空のフラーレンよりも低い酸化還元電位を有する金属内包フラーレンをケイ素化することにより、これまでに例のないようなドナー性の高い超分子が合成できるものと期待される。また、La_2@C_<80>においては室温で2つのLa原子が回転運動をしている(図を参照)ことを我々はすでに見い出しており、この分子にケイ素置換基を導入することにより回転運動の制御などの興味深い物性の発現が期待できる。我々は既にいくつかの金属内包フラーレンのケイ素化に成功しており、今回は生成物の大量合成とその物性の解明を中心に研究をすすめた。
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