研究課題/領域番号 |
12304039
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50209441)
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研究分担者 |
舩橋 靖博 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (00321604)
小澤 智宏 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (70270999)
実川 浩一郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (50235793)
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キーワード | 三重水素結合 / 相補的水素結合 / テープ構造 / 二次元格子構造 / X線結晶構造 / 次元制御 / ナノポーラス |
研究概要 |
分子の組織構造をナノスケールレベルで一次元から二次元、三次元へと制御することは、新しい機能性物質の開発などを考えた時、極めて重要である。このような構造制御を遷移金属錯体に適用すれば、磁気的性質や電気的性質、光学的性質など種々の金属の性質を有する構築物を創成できる。本研究ではこのような遷移金属錯体の次元制御を、水素結合のような弱い非共有性相互作用基を相補的に使うことによって、適当な強度と方向性を有する化合物を創成できると考えた。具体的にはADA型水素結合(A=プロトンアクセプター、D=プロトンドナー)およびDAD型水素結合を形成しうる配位子としてそれぞれビウレタト(bu)配位子とビグアニダト(bg)配位子を合成し、その錯体をそれぞれ集積化し、三重水素結合テープ構造体を合成した。また、金属錯体の軸位には非架橋性の配位子を導入し、上下の錯体同士を結合しないことによりフレキシブルな二次元格子構造を有する化合物の構築を行った。その結果、[Co{ph(bu)_2}(phpy)_2]-[Ni(bpbg)_2]の結晶が得られ、その構造が縦横13〜15Åのナノポーラスを有する二次元格子構造を形成していることが分かった。このナノポアはこれまでのような剛直なものではなく、中に入れるゲスト分子に応じて自由に空孔サイズを変化しうることが明らかとなった。このようなゲスト分子のサイズに応じてフレキシブルに構造を変え得る錯体の合成は初めてであり、機能性に優れたものであると考えられる。
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