研究課題/領域番号 |
12304041
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
関 一彦 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (80124220)
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研究分担者 |
石井 久夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60232237)
大内 幸雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60194081)
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キーワード | 界面 / 紫外光電子分光 / X線光電子分光 / ケルビン法 / バンドの曲がり / ITO / 仕事関数 / ポリ(テトラフルオロエチレン) |
研究概要 |
今年度は有機/金属界面および関連界面の構造と電子構造について、次の研究を行った。 1 有機電界発光素子、有機太陽電池などのオプトエレクトロニクスにおいては透明電極としてインジウムースズ酸化物(ITO)が多用されるが、有機層への電荷注入効率はITOの表面処理によって大きく変化することが知られている。この現象を理解するため、有機溶媒による洗浄、紫外線照射によるオゾン処理などを行ったITO表面の電子構造を紫外光電子分光、X線光電子分光などの手法により系統的に調べた。この結果、紫外線照射により炭素汚染が除かれて仕事関数が増加し、注入効率が増大することが分かった。 2 界面電子構造を決める大きな要因であるバンドの曲がりについて、超高真空下において清浄金属上に有機物質を堆積していったときの電子構造変化をケルビン法と紫外光電子分光法によって追跡した。この結果、フェルミ準位の一致は100nm程度の膜厚においても達成されず、高純度有機物質でのバンドの曲がりは殆ど起こっていないことが分かった。これは有機エレクトロニクスの基本となる知見である。 3 優れた絶縁体として知られるポリ(テトラフルオロエチレン)(商品名テフロン)の電子構造を詳細に調べるため、オリゴマーであるn-CF_3(CF_2)_<22>CF_3の配向蒸着膜における分子内エネルギーバンド分散を、シンクロトロン放射光を用いた角度分解光電子分光法で決定した。この結果を理論計算と比較したところ、概ね良い一致が得られたものの、電子電気物性において最も重要な価電子帯上端部については不一致が残り、理論計算に改良の余地があることが分かった。
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