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2000 年度 実績報告書

支えあう生物多様性のポストゲノム科学

研究課題

研究課題/領域番号 12304046
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

高畑 尚之  総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (30124217)

研究分担者 颯田 葉子  総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (20222010)
キーワード不安全ゲノム / ヒトゲノム / 共存共栄 / プリン代謝 / 尿酸酸化酵素 / ノイラミン酸水酸化酵素 / Alu / 性染色体文化
研究概要

本研究は「不完全ゲノム仮説」を検証し、生物はゲノムレベルでも相互依存的であることを示す。最近のヒトゲノムのドラフトシークエンスによれば、遺伝子の総数は3万程度であり以前の推定値を大幅に下回る。これも仮説の予測と一致し、ヒトに至る進化の過程で多くの遺伝子が消失したことを示す。当初本年度はデータベースの検索を計画していたが、他の生物でもゲノム計画が進行中であり、検索の実行は延期した。cDNAをもちいた実験は、材料と人材が揃い開始したところである。
本年度は、プリン代謝に関係した尿酸酸化酵素(UOX)とノイラミン酸水酸化酵素(HO)の遺伝子、およびヒトY染色体の遺伝子発現消失に関して報告する。
UOXはすべての生物に存在しプリン代謝を司る遺伝子であるが、類人猿では独立の原因で種特異的に壊れ偽遺伝子化している。旧世界猿の血中尿酸量を調べたところ(京大霊長研と共同)、旧世界猿においても偽遺伝子化が進行中である。メカニズムとしてプロモータの失活を追及している。HOはヒト特異的に失活した唯一つの例で,原因はエクソンの消失による。この近傍を解析したところ、Aluの挿入が原因である可能性が高くなった(論文作成中)。生物学的意義については、発見者であるバルキ博士と共同して追究している。かつてY染色体はX染色体と共に常染色体のように挙動していたが、その後性決定遺伝子の分化によって大半が不活性化または消失した。歯のエナメル質形成に重要なアメロジェニン遺伝子は、両染色体に生きた遺伝子をもつ例である。このパラログを比較したところ、イントロン2を境目に相同性の程度に明瞭な差が見い出された。この境界は両染色体が組み換えを停止した時期に対応すると考えられる。遺伝子内で組み換えの制御が変わったことは、染色体の再編成が直接の原因ではありえない(論文投稿中)。今後は、Y染色体の分化と不活性化の原因を追及する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] Yoko Satta: "DNA archives and our nearest relative : the trichotomy problem revisited."Molecular Phylogenetics and Evolution. 14. 259-275 (2000)

  • [文献書誌] Felipe Figueroa: "Mhc class II B gene evolution in East African cichlid fishes."Immunogenetics. 51. 556-575 (2000)

  • [文献書誌] Colm O'hUigin: "The implications of intergenic polymorphism for major histocompatibility complex evolution."Genetics. 156. 867-877 (2000)

  • [文献書誌] Sandra Nagl: "The origin and age of haplochromine fishes in Lake Victoria, East Africa.."R.Soc.Proc.B. 267. 1049-1061 (2000)

  • [文献書誌] Naoyuki Takahata: "Molecular phylogeny and demographic history of humans."Humanity from African naissance to coming millennia-collonqua in human biology and palaeoanthropology. (印刷中). (2001)

  • [文献書誌] Naoyuki Takahata: "Testing multiregionality of modern human origins."Molecular Biology and Evolution. 18. 172-183 (2001)

  • [文献書誌] Yoko Satta: "HLA領域の多様性と人類進化"Molecular Medicin. 37. 532-538 (2000)

  • [文献書誌] Yoko Satta: "ヒト・チンパンジー・ゴリラの系統関係"蛋白質・核酸・酵素. 45. 2598-2595 (2000)

  • [文献書誌] Susumu Ohno: "未完 先祖物語 遺伝子と人類誕生の謎"(株)羊土社. 190 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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