研究課題
本研究では、飛躍的に高い発電効率が期待でき、省資源や二酸化炭素の排出を大幅に削減できるMHD発電を研究対象としている。この発電を実用化に近づけるためには、実験室規模の小型の装置で、エンタルピー抽出率(=電気出力/熱入力)として25%、等エントロピー効率(=実際の電気出力/等エントロピー変化での理想的な電気出力)として、60%以上を実証する必要がある。このためには、これまで用いてきたアルゴンと比較して、速度が速く、プラズマの安定性に優れたヘリウムを用いることが有望である。平成12年度の研究では、ヘリウムを作動気体とすることによる計測系の改善を行った。その結果、発電性能を支配する電子温度を、高い時間分解で計測できるようになった。また、シード率のゆらぎについても時間分解良く計測ができるようになった。これらの改善の後、予備的な発電実験を行ない、アルゴンとの発電性能の違いについて調べた。その結果、ヘリウムではシード率がある値より低い場合、ノズル内での放電の形成が困難になること、また、ノズル内の放電形成がノズル負荷抵抗に大きく依存することを見出した。一方、放電形成の改善のためにシード率を高めた場合には、ノズル内で衝撃波が観測され、これが発電チャネルでの流速を減少させ、高い起電力が得られないことがわかった。また、今回の予備的な実験で得られたエンタルピー抽出率は9%と低かった。しかし、ノズル負荷をさらに下げて実験を行えば、エンタルピー抽出率の向上が可能であることが示唆され、現在ノズル負荷の最適化の実験を行っている。
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