研究課題
本研究では、飛躍的に高い発電効率が期待でき、省資源や二酸化炭素の排出を大幅に削減できるMHD発電を研究対象としている。この発電を実用化に近づけるためには、実験室規模の小型の装置で、エンタルピー抽出率(=電気出力/熱入力)として25%等エントロピー効率(=実際の電気出力/等エントロピー変化での理想的な電気出力)として、60%以上を実証する必要がある。このためには、これまで用いてきたアルゴンと比較して、速度が速く、プラズマの安定性に優れたヘリウムを用いることが有望である。しかしながら、その実験的検証はなく、本研究ではその性能を実験的に調べることを目的とする。平成13年度は、昨年度の実験で得られた知見をもとに、圧力などの運転条件の最適化やノズル負荷の最適化を行った。その結果、エンタルピー抽出率14%を得ることに成功し、昨年度のエンタルピー抽出率9%を大きく上回った。また、出力も650kWの大出カを得ることに成功し、ヘリウムの持つ高い流速という特徴を確認するとともに、断面積比の小さな発電機としては、世界最高の等エントロピー効率を達成できた。また、ヘリウムではアルゴンと比較して高電圧型の電圧電流特性となることも確認できた。一方、ヘリウムの場合にはノズル内での電離が困難となり、低いシード率では高性能が得難いこと、従って、強磁場運転が望ましいことが分かった。さらに、ヘリウムではアルゴンと比較してより一様なプラズマ、すなわち発電に適した安定した放電が形成されることも見出した。今後は、さらなる運転条件の最適化やスワール導入などの手法を用いて、より高い発電性能を得ることを目指す。
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