研究課題/領域番号 |
12305022
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹田 和義 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10029548)
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研究分担者 |
日高 雅子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00264094)
美藤 正樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60315108)
河江 達也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30253503)
田中 彰則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80274512)
井戸垣 俊弘 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40038013)
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キーワード | 電子物性 / 多重極限環境 / 高圧 / 磁場 / 超低温 / 純有機強磁性体 / 非フェルミ液体 / 量子臨界点 |
研究概要 |
SQUID磁束計に高圧下帯磁率用クランブセル及びダイアモンドアンビルセルを組み込んだ測定システムの立ち上げ;備品で要求していた7テスラAC測定付高感度磁化率測定装置が11月に入荷し、これに予め開発していた上述の圧力セルを組み込んで、立ち上げ実験を繰り返し続行している。この作業と連動して、純有機強磁性体の高圧下の実験を行い以下のような成果を得た。 代表的純有機強磁性体b-p-NPNN(Tc=0.61K)及びp-Cl-C_6H_4=N-TEMPO(Tc=0.28K)の加圧下物性測定(比熱、磁化率、磁化、構造解析等)とそれらの生滅機構を追究した。従来の結果を要約すると、加圧により前者のTcは先ず下降し、約6kbarの圧力で反強磁性に転移したのち、磁気転移温度は上昇に転じる。後者のTcは圧力とともに先ず下降し、その後約2kbar毎に上下を繰り返した後、約9kbar以上では反強磁性となって上昇する。共通している点はいずれも高圧で反強磁性に転移する点である。電荷移動、b-水素メカニズム等の相互作用機構が理論的にも指摘されているが、10kbarで格子定数が約5%縮む効果では上述の変化は説明できず、基や分子団の回転が重要な役割を演じることが解ってきた。一方加圧と共にTcが最初から上昇する例も見出した。中辻等の発見したTc=0.42Kの強磁性結晶2,5DFPNNの磁化率の圧力依存性を詳細に調べた。19.5kbarの加圧下でもしっかりした強磁性の特徴を示していることが解った。磁気比熱で見ても、対応する転移温度あたりで鋭いピークを示していることが解った。このことは分子間相互作用が3次元的にも強磁性のまま保たれており、前の2例の面間相互作用が反強磁性へ移行する場合とは対称的な結果になっている。
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