ウェーハスケール光導波路結合型ダイナミックニューラルネットワークシステム

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12305024
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 小柳 光正 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60205531)
• 研究分担者: 栗野 浩之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70282093) ; 羽根 一博 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50164893) ; 江刺 正喜 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (20108468)
• キーワード: 光導波路 / 並列処理 / ウェーハレベルインテグレーション / システム オン チップ / ウェーハ張り合わせ技術 / マイクロバンプ / 半導体技術 / LSI集積化技術

研究概要

本研究課題において、我々は、ニューロン回路を搭載したLSIチップを光導波路で相互接続することによって、ニューラルネットワークにおいて重要な要素である1000以上にも及ぶ多数のニューロンの相互結合(シナプス結合)の可能性を示すとともに、この技術を用いて連想や認識といった人間のもっている柔らかな情報処理機能を取り入れた新しいニューラルネットワークの試作を目指している。
昨年度は、ニューラルネットワークシステムの中核となる光導波路結合技術の開発と、光導波路結合マルチチップ・モジュール・システムに搭載する光ニューロン結合のための記憶回路の試作を進めた。本年度はこのようなシステム実現のために、リコンフィギャラブル回路やニューロン回路など、回路技術を中心に検討を行なった。
連想や認識といった人間のもつ柔らかな情報処理機能を実現するための回路として、動的にシステムの回路構成を変更できる新しいリコンフィギャラブル回路を提案し、テストチップを試作した。この回路は状態を保存するための大容量のメモリを内蔵している。試作したテストチップでは、ロジックブロック間を8ビットの内部バスで接続することによってブロック間の高速のデータ転送を実現している。この回路の評価として画像を入力し、回路ブロックを再構成することで小さな回路規模でもエッジ抽出などのいくつかの画像処理が実現できることを確認した。現在いくつかの回路上の改善点が見つかり、再設計終えて、試作を進めている。
ニューロン回路に関しては、アナログ的なアプローチを導入することにより、回路規模の拡大を抑えることに主眼をおいた。そのため、まず、アナログニューロン回路の基本であるスイッチドキャパシタを用いた差動増幅器の検討を行なった。通常のスイッチドキャパシタ回路にさらに1つのキャパシタと2つのゲートを追加することによって消費電力を抑えるとともに、スループットも上げることなく十分に動作する回路を提案し、この回路を用いたアナログニューロン回路を試作している。

研究成果

• [文献書誌] 中村共則, 橋本啓, 沈正七, 栗野浩之, 小柳光正: "三次元集積回路を実装した光MCM技術の研究"電子情報通信学会 信学技報. 2002-08. 55-60 (2002)
• [文献書誌] 小柳光正, 栗野浩之: "VLSIの光インターコネクション"応用物理学会 関西セミナー SFM講演会予稿集. 55-55 (2002)
• [文献書誌] Hoon Choi, Hiroyuki Kurino, Mitsumasa Koyanagi, et al.: "SOI NMOSFETs with SiGe Elevated S/D and Ni Silicide"Extended Abstracts of International Workshop on Junction Technology 2002. 63-64 (2002)
• [文献書誌] Hoon Choi, Hyuckjae Oh, Hiroyuki Kurino, Mitsumasa Koyanagi, et al.: "SiGe Selective Epitaxial Growth on SOI Substrate for The Elevated Source and Drain Structure"Abstracts of International Semiconductor Technology Conference (ISTC). 55-55 (2002)
• [文献書誌] Hyuckjae Oh, Hoon Choi, Hiroyuki Kurino, Mitsumasa Koyanagi, et al.: "Ultra-Shallow Junction Formed by Laser Induced Atomic Layer Doping in Silicon on Insulator"Abstracts of International Semiconductor Technology Conference (ISTC). 66-66 (2002)