研究概要 |
1. GaAs-MMIC用として,SiO_2絶縁層を介してスパイラルコイルを電気めっき法により製作し,ポリイミド層による絶縁平坦化の後,磁性薄膜を0.1μm〜1μmスパッタ製膜し,イオンミリングによりパターニングする.2GHz, 8nH, Q=5を350x350μm^2以得た.年度当初目標とした数値の約半分に留まった.その主な理由は,スパイラル中央からの引き出し部における抵抗増加である.次年度は,これを改良すれば所期の性能が得られる見通しである. 2. Si-MMC用として,外部コイル形磁性薄膜インダクタ構造"によって,従来のスパイラルインダクタと同面積で5倍のインダクタンスが得られることを2GHz帯で実証すべく,構造設計とプロセス設計を行った.構造は薄膜コイルが磁性体の外部を周回する構造となっており,GaAs-MMIC用に提案した構造に比べて複雑ではあるが,大きなインダクタンスと高いQ値が期待できる.この構造では磁性膜は長手方向のみに励磁されるので,スパイラルコイル用磁性膜とは異なり,スリットは1方向のみに入れる. プロセスはまず薄膜コイルのうち磁性薄膜の下層の辺をCuめっき法で形成する.膜厚はCuの2GHzにおける表皮厚さを考慮し2μmとする.次いでSiO2により絶縁層を形成,ダマシン法による平坦化を行い,下地層を介して磁性膜をスパッタ法で製膜し,イオンミリングによりマイクロパターン化する.その膜厚はスパイラルインダクタと同様に0.1μm〜1μmである.再びSiO2を性膜し,コイル上層ならびにコイル下層とのビアホール接続を,ともにCuめっき法により行い,完成に至る.3月中に試作完成し特性評価を終える予定である. 本年度導入した薄膜インダクタ微細加工装置用クリーンブースの中に昨年度導入したイオンミリング装置ならびに回転磁場中熱処理炉を設置し,クリーンな環境下でデバイス微細加工を行った.
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