研究概要 |
(1)ソノグラムを用いた超短光パルス計測システムの構築 波長1500nm帯でのピコ〜サブピコ秒領域の超短光パルスを用いた光領域時間多重システムの研究開発を効率よく進めるため,超短パルス計測システムを開発した。これらの応用では,比較的低パワーの光パルスを扱うため,システムの高感度性が特に要求される。また,システムの簡易さ,操作性,低価格性なども重要な要素である。今年度は特に,光パルスのソノグラム測定法およびソノグラムからの光パルス再生法の研究を行った。非測定光パルスを光フィルタで切り出し,出力波形をシリコンAPDの二光子吸収を用いた高感度相互相関光パルス測定器を用いた測定することにより,ソノグラム(周波数-時間の二次元分布)が得られる。この分布関数から光パルスの強度および位相を再生する公式を導出し,これを用いて1500nm帯ピコ秒光パルスの再生に成功した。 (2)非線形マッハツェンダー干渉計を用いた全光再生中継伝送の理論解析 非線形マッハツェンダー干渉計はその入出力特性が非線形であるため,入力光の信号対雑音比(S/N比)を改善することができる。このような干渉計を多段に接続すれば,光増幅中継系におけるASE雑音の累積を抑圧することが可能になる。本年度は,光増幅中継系を伝送する信号光のS/N比が,干渉計の段数によってどのように変化するかを解析した。S/N比は入射光S/N比と干渉計段数の関数として表現され,非線形干渉計によって雑音累積を抑圧するには,入射光S/N比を73以上とすべきことが明かになった。 (3)全光学的クロック抽出回路の試作 Si APDにおける二光子吸収を用いた光相互相関検出器を試作し,これを用いて全光学的にクロック抽出が可能であることを示した。
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