研究概要 |
本研究では,実環境下では避けられない,人や環境との接触を前提とした環境適応型移動ロボットシステムの開発を行った.具体的には,全方向移動機能を有するモバイルベースを基に,申請者らが提案してきたボディフォースセンサと呼ばれるパラレルリンク型の力覚センサ,三菱重工業製の7自由度マニピュレータ(PA-10)を装備する構造とした.また,ロボットはそれぞれ制御装置を有し,自律的に運動を行うことができるシステムとした.ロボット間やホストコンピュータとロボットとの間の通信は,無線LANを装備させることにより実現した.開発したシステムの性能試験を行うために,基本的な運動制御系を開発,実装し,各種実験を行い,システムの検証を行った.本システムは,ボディフォースセンサを利用することにより,ロボットのボディ全体に加わる外力を検出することが可能である.これにより,人や環境との接触を前提としたロボットが実現できる.また,全方向移動機構と,7自由度のマニピュレータを組み合わせることにより,冗長性を利用したより複雑な作業を実現することが可能となる. 本年度は,環境適応型移動ロボットの開発と共に,従来の全方向移動ロボットシステムを用いた予備実験を行った.これにより,未知形状物体や大型物体のハンドリング技術,環境情報を利用した移動ロボットの制御技術,人と複数のロボットの協調による物体のハンドリング技術等を提案した.次年度以降,これらの技術を,本年度開発した環境適応型移動ロボットシステムに適用させ,冗長性を利用した制御系に拡張することにより,新たな知的協調運動制御技術の開発を行う.
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