研究概要 |
本研究では既存コンクリート構造物の健全度評価および最適補修工法選択システムの確立を最終目標として検討を行った。具体的な目的としては以下の4つが挙げられる。 (1)コンクリート構造物の経年劣化の把握, (2)コンクリート構造物の劣化診断システムの開発 (3)コンクリート構造物の最適補修システムの確立 (4)経年劣化モデルと力学的挙動モデルの連成解析(汎用性を目指して) 以下に各項目について成果を示す。 (1)-(1)コンクリートの内部組織構造の定量化 養生時に外部環境(温度・湿度)がセメント系材料の水和反応速度・細孔構造にどのように影響を与えるか,また混和材混入がそれらに及ぼす影響について把握した。 (1)-(2)コンクリートの物質移動現象のモデル化 初期ひび割れを有する鉄筋コンクリートの塩化物イオン浸透性状および腐食性状について検討を行い,ひび割れからの腐食因子侵入のモデル化および鉄筋腐食速度予測を行った。また,硫酸によるコンクリート腐食のメカニズム解明を目指し,セメント種類,pH,細孔構造から腐食生成物に伴う膨張圧・コンクリートの剥離について検討を行った。 (2)-超音波による内部空隙・ひびわれ計測 代表的な非破壊検査である超音波を用い,ひび割れ深さ・形状等,実構造物における損傷を高精度で予測・評価する手法を提案した。 (3)補修工法と補修後鉄筋コンクリートの力学的挙動の確認 各種コンクリート表面保護塗膜による腐食因子防御効果と引張疲労時のひび割れ追従性より,保護材料の選定手法とその評価方法について提案を行った。また,コンクリートひび割れへの樹脂注入による耐久性評価,および注入による力学的挙動の変化(主に曲げ載荷)について実験的検討を行った。 (4)力学的挙動モデル 鉄道RC構造物を対象として,地震時早期被害把握システムおよび鋼鈑補強RC柱の複雑な損傷挙動を解析できる2次元数値解析モデルを提案した.
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