研究概要 |
本研究では,斜張橋ケーブルの高風速渦励振・レインバイブレーションの発生メカニズムの解明を目指すと共に,発散型振動であるギャロッピングについて,風洞実験ならびに大型ケーブル模型を用いた屋外観測実験によって検討を加えた. 屋外観測実験では,3種類の傾斜ケーブルモデルを用いて観測を行い以下の結果を得た. ●降雨時に振幅が大きくなる傾斜が見られ,レインバイブレーションと考えられる振動現象が見られた. ●台風の通過時に面外1次モードの大振幅振動が観測され,ギャロッピング振動の可能性が示唆された. 風洞実験において得られた成果を以下に述べる. ●傾斜なしケーブル模型後流域にスプリッタープレートを挿入し,その位置を変化させることで,傾斜ケーブルにおける軸方向流の形成位置の影響を加味し,水路位置の変化の効果とを併せて傾斜ケーブルにおける静的空気力特性を評価した.その結果,風洞実験と準定常解析の結果は符合せず,特に風洞実験においてV/fD=40付近で発生した高風速渦励振のような振動応答は準定常解析からは得られなかった.このことは,高風速渦励振が準定常解析では説明できない可能性を示唆している. ●水路位置のケーブルスパン方向における非一様性,およびその特定の形成位置が高風速渦励振の発生に関連していることが示唆された.更に,模型スパン方向に水路位置を変化させることで2つのカルマン渦放出周波数が生じ,それらの周波数の差から無次元風速を算出すると,おおよそ風速限定型振動の発現風速域と一致することが判明した.
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