研究概要 |
新世代の情報記憶メモリであるMRAM(Magnetic Random Access Memory)の記憶容量を大きくするためのブレークスルーを発見することを目的として,サブミクロンオーダー以下の大きさを有するメモリセルの電気的特性および磁気的特性について評価を行った. (1)種々の構造を有するメモリセルの微細加工方法についての基礎検討を行った.粒子の直進性の優れたイオンビームスパッタリング法と微細加工に適した電子線リソグラフィ法を組み合わせることにより,100nm以下の大きさのメモリセルを形成する技術を確立した. (2)サブミクロンオーダー以下の大きさを有するメモリセルに対して,走査型トンネル顕微鏡および原子間力顕微鏡を用いた詳細な構造評価を行った.電子線リソグラフィ法で用いるレジストの側面に付着する蒸着粒子の存在がメモリセルの微細な構造に影響を及ぼすことが明らかになった. (3)8μm×1μmの大きさを有するメモリセル内の情報記憶磁性層の磁区構造に関する検討を行っtた.その結果,従来型の単層膜情報記憶磁性層は,膜面内で磁束が還流する磁区構造となり情報を失うのに対して,本研究で提案した基本構造である積層膜情報記憶磁性層では,膜厚方向で磁束が環流し,情報を安定に保持することができることを明らかにした. (4)超高真空対応のスピン依存トンネル効果評価<装置を設計製作した.また,従来の方法により,磁界中のメモリセルの電気的な特性により,磁界中のメモリセルの電気的な特性についての検討を行った.0.5μm×0.5μmの大きさを有する各種の積層構造のメモリセルの磁界による電気抵抗の変化を測定し,その結果から各磁性層の磁化状態の情報を取り出す技術を確立し,超高真空対応の評価装置の基礎的知見を得た.
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