研究課題/領域番号 |
12305046
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山口 正治 京都大学, 工学研究科, 教授 (90029108)
|
研究分担者 |
伊藤 和博 京都大学, 工学研究科, 助手 (60303856)
田中 克志 香川大学, 工学部, 助教授 (30236575)
|
キーワード | 水素吸蔵 / Ti_3Al合金 / Ti-Al-Nb系合金 / ラーベス相 / 組織制御 / Mg-Ni-Ca系合金 |
研究概要 |
Ti_3Al単相に吸収された水素は100℃ではほとんど放出されないが、0相を分散させたTi-Al-Nb合金時効材では、水素を100℃で吸放出する。Ti-Al-Nb系合金を1200℃から急冷し、900℃以下で時効すれば、ある結晶方位関係をもって0相がB2母相中に析出する。時効によってツイード状に0相を分散させた組織を作れば、水素を可逆的に吸放出する。0相の分散と可逆的水素吸放出のメカニズムはほぼ明らかになった。0相の分散と同じ効果を加工によって実現することができることも明らかになった。この知見を応用してNbを添加しないTi_3Al基合金に可逆的に水素を吸放出させるための研究室レベルの技術を開発した。 Mg-Ni-Ca系にはC36、C15、C14構造に結晶する金属間化合物MgNi_2、CaNi_2、Mg_2Caが存在する。CaNi_2は水素を吸蔵するが放出せず、MgNi_2は水素を吸蔵しない。一方、Mg_2Caの水素吸放出特性にはいまだ不明な部分が多い。そこで、Ti_3Alで得られた知見の他系への応用を試みるべく、Mg_2Caを中心とするMg-Ca-Ni系合金の水素吸蔵特性について検討した。CaNi_2-Mg_2Caを結ぶライン近傍の組成の合金は、C15構造を有する金属間化合物とMg-Ca側化合物に近い組成のC14型化合物あるいは固溶体からなる複雑な組織を呈する。実験した合金には、一定量の水素を可逆的に吸放出するものもあるが、水素吸放出特性は試料の作製条件、合金溶製後の熱履歴によって変化することが明らかになった。MgNi_2-CaNi_2を結ぶライン上の化合物にも一定量水素を吸放出するものがあるが、やはり作製条件、合金溶製後の熱履歴によって水素吸放出特性が変動する。これらの系の合金では組織的変化が唯一の水素吸放出特性変動要因ではないと考えられ、Ti_3Alと同じ結果は得られなかった。
|